低予算で撮られたインディーズ系ゾンビ映画で、ネタバレ厳禁のストーリーである…という触れ込みからいろいろと想像しながら劇場に向かったんだけど、良い意味で予想を裏切られるような作品だった。
序盤で観客に違和感を持たせて、後でそれを答え合わせのような形で一気に解消するという流れは特段目新しいものではないんだけど、それを映画とその撮影風景という形にすることで、違和感なく答え合わせに持って行く流れが巧い。「ワンカット長回し」という手法も映画の仕掛けの一つにすぎず、これ見よがしに技法を見せつけるのではないのも良かった。
「映画を撮る映画」は割とあって、有名どころでいうと『8 1/2』だの『桐島〜』だの、結構その裏側の人間模様だとか産みの苦しみやなんかを描くことが多いんだけど、今作ではすったもんだはありつつも、どの立場の人でも落とすことなく平等に肯定し、常に明るい雰囲気でいるのが印象深かった。
ゾンビなんていうゲテモノを題材にしている割には全く生臭さみたいなものは感じず、ひたすら優しさに満ち満ちた映画で、それが人気の決め手なんだろうなと思った。
ただ、そのど直球の明るさに若干身を引いてしまっている自分もいて、大団円からのステキなラストショット、そして駄目押しかのように流れ出すJackson5みたいな陽気なポップソングにはやや辟易すらしてしまった。
隠のものにとってはややネアカすぎたかもしれない……。
(2018.59)[23]
