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ベン・イズ・バックのkingyohimeのネタバレレビュー・内容・結末

ベン・イズ・バック(2018年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

クリスマス。
教会から帰った一家は、一家の長男が家の前にいるのに出くわす。
長男は薬物による問題を起こしており、専門の施設に入っていたが、クリスマスを家族と過ごそうと帰ってきた。
まだ、治療途中の長男をこのまま家にいさせていいのか、家族の中で意見が分かれるが、結局はクリスマスの一日、母親が監視して家に置くことに。
一家はクリスマスの準備を整え、教会でクリスマスのミサに参加する。
そして、家に帰ると、何者かに家が荒らされ、愛犬が連れ去られていた。
長男は犯人に心当たりがあるからと外に飛び出し、それを追う母親も一緒に犯人を探す事になる。
そんな中、薬物に頼るようになった長男の人間関係が見えてくる。

これを観て思ったのは、「何があってもあなたの事を信じる」と、ただ言葉だけで言うなら容易いということ。
薬物に限らず何かに依存する人は依存の対象を得るためなら嘘も平気でつくし、どんな事でもする。
それを身近で見ていて、ただ信じると言葉で言うだけなんて、むしろ無責任だと思う。
それは、その人自身の存在を信じないというのでなく、何かに依存してしまった人を信じないというだけの事だと思う。

この映画の主人公である、薬物依存者の母親は最初から息子に薬物摂取のテストを受けさせるし、薬物や貴重品を息子の目につく所から隠す。
そのやり方も徹底している。
たった一日家にいさせるだけでも相当な覚悟のいる事なんだと観ていて思った。

さらに、一度でも薬物というものに手を出すと、それを扱う人間たちと関わるようになる。
それがまた依存者を引きずり落とそうとする。
依存者を更正させる場所にでさえ、そういう魔の手が伸びている。
もしや、自分だけが低い所にいるのが面白くない、という思いがそこにはあるのかも・・・と思った。
悪い人間関係は一度できてしまうと中々断ち切るのが難しい。
薬物そのものもそうだし、そういう連鎖も恐いと見ていて思った。
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