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ミザリーのkingyohimeのネタバレレビュー・内容・結末

ミザリー(1990年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

昔観た映画。
印象的で、大体のあらすじとラストはしっかり覚えていた。
最初観た時は、とにかく女性の異常行動とその演技の素晴らしさばかりに目がいってたけど、今回見直してもっと細かな所まで観て考えさせられた。

主人公は「ミザリー」というシリーズ化した人気小説を書く小説家。
彼は新境地を開くため、ミザリーを終了する事にする。
そして、その最後の原稿を手に、別荘から帰る途中の雪道でスリップ事故を起こし、崖から転落。
一人の女性が車から彼を助け出し、彼女の自宅で手厚い看護を受ける事となる。
彼女は「ミザリー」の大ファンで、彼のファンだと言う。
シリーズの小説は全て読んでいると言い、彼を献身的に介護するが、ふとした瞬間に癇癪を起し、異常性を見せる。
さらに、電話が不通で、家族やエージェントに電話をしたり、病院に連絡をしたりも出来ないと言う。
彼女の行動や性格に不信感を抱いた主人公は何度も閉じ込められた家から脱出をこころみようとするが、事故の際足をケガしており、思うように動けずあえなく失敗。
やがて、彼女の行動はどんどん異常性を増して、それを隠そうともしなくなる。
一方、雪が溶けて、彼の車が崖下から発見される。
皆、主人公は死んだのだと言う中、地元の保安官だけが彼は生きているのでは?と調査を続ける。

最初、とにかく女性の異常行動とそれを演じる女優にばかり目がいっていたけど、見返してみると、主人公演じる男性も、この状況でどこかコミカルな様子を見せて、明るい性格の人なんだな~と好感がもてたし、すっかり存在を忘れていた保安官も良かった。

異常性格の女性は異常な割にどこか理知的な所もあり、カンの良さもある。
そして、自分がすぐに癇癪を起すせいで人から好かれないという事も分かっており、主人公が自分を怒らせまいとして自分を好きな演技をしているのも分かっている。
もちろん、こんな異常な性格の人が人から好かれる訳もなく、だからずっと孤独だったんだろうと、今回観て思った。
そして、その孤独がさらに彼女の精神を蝕んでいったのかー。
同情している訳ではないけど、淋しい・・・とても淋しい人だと思う。

それに反して、事件を追う保安官は歳老いているが、今だに歳とった妻にやきもちを焼かれるくらい愛されている。
彼はそうと見えないけれど、頭の良い人で、観察眼が鋭く、仕事に誇りを持っている。
こんな人は愛されるだろう・・・と見ていて思った。

最初観た時は先が読めないため、とにかくドキドキハラハラだったけど、今回観て、こんな過酷な状況設定なのにクスッと笑えるような場面もあった。
それは役者の演技力のなせるワザだし、性格によるものだろうと思った。
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