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パンズ・ラビリンスのkingyohimeのネタバレレビュー・内容・結末

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

10年以上前に観た映画。
今回久しぶりに観て、以前観た時と同じように、最初から最後まで全く退屈する事なく素晴らしい映画だと思った。

物語の舞台は戦争が終わって間もないスペイン。
主人公の少女は仕立て屋の父親を亡くし、母親と共に新しい父親の元に身を寄せる事となる。
新しい父親は軍人で、その父親のいる駐屯地で暮らす事となる少女。
そこへ向かう途中で彼女は妖精(と言っても見た目は気持ち悪い虫)と出会う。
そして、その妖精の導きにより、地下にある妖精の国に行き、そこで不気味な風貌のパンに出会う。
パンは少女が妖精の国の王女だと言う。
そして、人間界に染まり切ってないか試すと言う。
パンは少女に一冊の本を渡し、三つの課題をクリアすると妖精の国の王女として迎えると言う。
少女は言われるまま課題に取り組む。
そんな中、大人の世界ではゲリラと軍隊が衝突。
少女の母親は子供を出産し、亡くなる。

スペイン映画らしく、とても暗く重苦しい雰囲気の映画。
だけど、それを覆すくらいの面白さ。
目が離せなくなるし、10年以上経っても印象的な場面はちゃんと覚えていた。
それは、酷い拷問シーンと少女が異世界で怪物に追いかけられるシーン。
最初観た時はひたすら面白い映画で、ストーリーをただ追うばかりだったけど、今回観て何が言いたいのか、分かったように思う。

私は最近、仕事を辞めた。
そこはパワハラ気質の会社で、パワハラ気質のパート女性がおり、他のパート女性達はその人に合わせていた。
私は抑うつ状態になり、仕事を辞める事にした。
そこで働いていた上司もうつ病になり、今長期休養している。
私はある時、その人に何なの?この対応?という態度をとられて、
「人間の心は無いんですか?」
と言った事がある。
今なら、その人がそうしないとあそこで働けなかったという事がはっきり分かる。

そういう事がこの映画では語られている。
作中のある人物が言ってる言葉がそのまんまだと思う。
「何の疑問も抱かずひたすら従うなんて、心ない人間にしかできない事だ」

私も上司もまだ人間の心があるから病んだんだと思う。
それくらい自分を根本から偽るという事はつらくて耐え難い事。

少女は人間の心を持っていた。
だから残酷な世界に別れを告げる事となった。
肉体は無くしても心を自由に解き放つ事ができた。
こんな話を上司と話せる機会があれば良かったのに・・・と心から思う。
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