偽名祐司

恋は雨上がりのようにの偽名祐司のレビュー・感想・評価

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)
3.8
原作は漫画、アニメ化もし、恐らく幸せな実写映画化を果たした作品。

「メッセやってる?」という軽い同級生の誘いをを振りきり、放課後疾走する女子高生、あきら。バイト先のファミレスでは「美少女なのに愛想がなく、なんでこのバイトやってんの?」と思われつつイケメンパティシエや、バイト先まで同じになってる同級生を更にあしらい、休憩に入る。休憩中、同席した「部下から駄目店長と揶揄される×1男の近藤」に対し真顔で言うのでした。「店長、メッセやってますか?」と。

観客に対して非常にシンプルながら解り易い状況説明がわずかOPから10分程度で終わるこの作品。後はひたすら青春というかあきらの片思いというか非常に見てて頬が緩む展開が美しい空の情景と共に展開されます。

あきらの小松菜奈も店長の大泉洋も凄く原作にマッチした感じです。あきらは表情が表にそれほど出ない分行動が可愛いですし、元陸上部としての走るシーンも素晴らしい。女子高生に猛アタックされる40絡みの店長の取り乱し様はもはや大泉の独壇場。嵐の夜に風でフレームアウトする所は流石にやりすぎ感はありましたが。長年の親友設定の小説家のちひろとのやりとりは当たり前ですが自然すぎますねー。本当大泉は良い役しかやらないですよね、ズルイわ。周りの固める人々も良い感じです。新しい壁ドンも見れます。話も女子高生とおじさんの年の差恋愛モノかと思いきや、あきら本人の再生、親友との友情、店長本人の葛藤、友人とのやりとり、夢への復帰と、実は幾つのも要素が良い感じに混ざってる爽やか青春物語。あきら側に寄るか、店長側に寄るか、で観る景色が変わる楽しさを持ちます。そしてそれをタイトル通り、様々な雨や、雨上がりの空で表現する上手さ。

所謂良くある恋愛映画にありがちなのが「とりあえず主役の女優を可愛く、綺麗に撮りました!」感がある作品なのですがこれに関してはそれがそんなにありません。それを一番感じる所が後半、あきらが店長の息子に走り方を教えるシーン。無邪気な子供と楽しく笑い合いながらあきらが海辺の砂浜で一緒に走る。普段のクールな女子高生設定のあきらでは撮影できない、小松菜奈の全力笑顔が撮れるはず、なんですが。ここ、全部引きで撮影しており、全く寄らない。店長が遠くから眺めてる、という設定なのかとにかく遠くから美しい海辺と砂浜と輝く空がメイン、位の勢いで撮影してる。個人的にはこのシーンとても好きです。

結末も綺麗に終わり、原作ファンが喜ぶアニメーションシーンもサービスされており、(ちゃんと伏線張ってます)青春映画としても恋愛映画としてもどちらからでもお勧めできる素敵な作品。普段そういう系統を見ない人でも大丈夫かと思います。雨上がりのカラっとした気持ちになりたい人は是非どうぞ。
偽名祐司

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