とりん

パージ:エクスペリメントのとりんのレビュー・感想・評価

パージ:エクスペリメント(2018年製作の映画)
3.2
2021年99本目

初めてのパージを描くとあって、これまでのシリーズの内容とは変わった内容となっている。
あらゆる犯罪が解禁されているのに殺人ばっか行われていたのには内なる暴力の解放ということもあったが、やはり政府が一枚噛んでいたかのように思う。パージ参加者や市民はやはり暴力といっても殺人とまではいかず、略奪や破壊行為程度で収まっていたのだ。それを見た政府が実験を成功に無理やり導くために傭兵を導入し、殺人率を上げていくのである。

これまでのシリーズを観ていたら、パージが政治的な策略により低所得者を減らすために行われていることはわかるが、本作は明らかに政府の手が入っており、観ていて胸糞しかわかない。特に最後のタワーマンションに傭兵が攻め入るところはただの大虐殺以外のなにものでもない。
だからこそ市民vs傭兵のような構図が成り立つわけで、そう考えると前作と形は違えど方向性は同じと言える。ただあれだけ映像が流れていると成功と言えるわけがないと思うし、実際に犯罪率が減らないことには何の意味もなさない。ただ虐殺を許しただけに国民が納得いくわけもない。ちゃんとあれで数年あの場所で犯罪が起きなかったとかならまだわかるが、なぜ次の年にはもう全国でやりますという流れになるのか全くもって理解できない。ただの独裁政治である。この辺りがすごく雑だったかな、最後のまとめが弱すぎる。
まぁそういう部分を置いておけば、それなりに楽しめる内容。巻き込まれてしまった一住民たちには悲しみしかないし、身近な人たちを理不尽的に失った人たちには怒りしかない。そうしてパージが繰り返されていくのだろう。
とりん

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