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スパイダーマン:スパイダーバースのabeeのレビュー・感想・評価

4.3
【人生にモヤモヤするとそれが下っ腹に溜まってくんだよね
脂肪じゃないんだよ脂肪じゃww】

黒いからって邪悪なわけではない。
今作のヒーロー、スパイダーマン【マイルズ】の纏うスーツは彼のアイデンティティが詰まったデザインだったのですね。

これはとても面白い作品でした。

MCUのスパイダーマン3作目で歴代スパイダーマンたちが集結するのでは?と話題になってになっていますが、一箇所にスパイダーマンがいっぱいいる理屈が分からなかったり、「ファー・フロム・ホーム」のラストに登場した〇〇は同一人物であるにも関わらずサム・ライミ版の〇〇とは違う人だなんて言われても意味不明だったわたし。

はぁーーー。成る程。「エンドゲーム」もそうだけど、これがマーベルのデフォなのね。
これを理解していないとダメな世界観なのね。

こんな私のようなMCU沼にハマっているにわかマーベルファンにとって、沼の奥底を垣間見るためにとても優しく描いてくれていました。入門編とまでは言わずともMCUのフェーズ4に向けて是非観ておきたい参考書って感じです。より理解が深まります。

オリジナルのスパイダーマンを失うというきっかけを軸にティーンのスパイダーマン・マイルズの成長と落ちぶれたスパイダーマンの回帰という両面から2人のヒーローを描いています。

これはアニメーションならではでしょうか?
ダブル主演というかたちを取ってもどちらのキャラクターも疎かにせず、それでいて他のキャラクターにも感情移入が出来るほどにとても丁寧に描いているのが凄い。
ヴィランの心情描写までちゃんとあるんですよ。ヴィランの誕生の裏には悲しい辛い厳しいストーリーがあるものです。
これだけのキャラクターの数で全部見えてくるって素晴らしい!

アニメーションならではのCGの使い方や、キャラクター毎に異なる技法を使って描くなど面白い試みもある。
なかなか新しい映像体験ができる作品として劇場で観なかったことが悔やまれる…

ということで、日本には全く無いタイプの映像作品。
この独特の線はニューヨーク・ブルックリンのアンダーグラウンド的な雰囲気を最大限表現し、そこに異なる線が重なることで異次元感が出るという、とても計算された映像が印象的な作品。
それでいてスパイダーマンが読者に伝え続けてきたヒーローの葛藤まで見えてきちゃってめちゃめちゃ熱いです!
絶対観るべしです‼︎
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