きよぼん

億男のきよぼんのレビュー・感想・評価

億男(2018年製作の映画)
4.6
「学歴なんて関係ないって、東大出てから言ってみたい」という予備校の広告がありました。

世の中には実際手にしてみないとわからないことがあります。「幸せはお金じゃない」と言ってみても、それは庶民の負け惜しみにすぎないのかもしれません。だからこそ、人は金を手にした億万長者が何を考えているのか?知りたいし、興味がつきないのでしょう。

宝くじで3億円当選した大倉(佐藤健)は、使い道を相談しようと、友人で起業して億万長者となった古河(高橋一生)を訪ねます。大倉が酔いつぶれて目を覚ますと、古河は3億円と一緒にいなくなっています。大倉は古河を探し出すため、一緒にIT会社を経営していた仲間を訪ねることに。

行く先々で、億万長者の彼らから、お金に対する哲学をきかされる大倉。

数年前のITバブルの人達が、お金を語るというのがポイントでしょう。

この時代にお金持ちになった人は、お金というものに対してストレート。いい意味でも悪い意味でも、お金を語ることに対して古い世代が感じる、うしろめたさみたいなものがない。

だから、この物語はお金という普遍的なお話でありながらい、今現在を描いているといえるでしょう。

そして、哲学や美学を語りながら、エンタメとして成立してるのが素晴らしい。

お金を語る北村一輝、藤原竜也、沢尻エリカの怪演、好演はみもの。テンションをあがりまくりで大笑い確実。

そして最後に到達してる結論が、ありがちで説教くさい「お金より大事なことがある」なんていうところに、単純に到達していないところがいいんですよね。お金を使うことに対して、肯定も否定もしてない。

この映画に登場する人物が語る、お金に対する考え方はどれも正しいし、間違っていない。

一万円という値段がついているものは、本当に一万円なのか。笑えて考えることができる。これぞエンタメ。
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