公開時、随分酷評されてたから全く期待しないでテレビを眺めてたんだけど、途中から前のめりになってた。かなり深いところに刺さってたんだと思う。
ガキの頃、母が病気の妹にかかりっきりだったことを思い出してしまった。妹の病状があまりにひどくて、幼いながらもわがままを言ってはいけない状況だとわかってた自分のことを思い出して胸が痛くなったよ。
はたしてこれは幼児のくんちゃんの視点なのか、それとも過去を振り返ったくんちゃんの記憶なのか、ちょっとよくわからないところはあったけど、だからといってそれが作品の価値を貶めるほどにはぼくは感じられなかった。
たとえストーリーといえるストーリーはなくとも、鼻の奥がツンとするほどの強い郷愁や、何者でもなくなる恐怖、愛を与えて初めて得られる自己だとか、映画としての見せ場は十分あって、メッセージはしっかり伝わった。
これはそんなにダメな映画なんだろうか。ぼくにはとてもスペシャルな作品に感じられたのだけど。