ケイスケ

15時17分、パリ行きのケイスケのレビュー・感想・評価

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
4.2
不思議な映画。実際に起きたタリス銃乱射事件の映画だが、映画の大半はそれを阻止した主人公たちの子供時代と大人時代のアムステルダム旅行を占める。しかもそれを演じるのが事件を阻止した本人たちという。幼少期の頃から彼らの人生を見せられているため親近感が半端ない。なんかもう友達の一人になった感じで見てました。

もはやイーストウッド監督はとんでもない領域に入ってると思う。「俳優に演じさせなくても本人主演で面白い映画撮ったろ!」という無茶なことをやってのけてしまうのだから。見所はラスト15分の事件部分だと思いますが、自分はこのアムステルダム旅行シーンが楽しかったからもっと見たかったな。

一見すると関係無いようなシーンが多く見えますが、ラストの事件に至るまでのスペンサーたちの生い立ちがよく描けている。幼少期のサバゲー、警報時にボールペンで立ち向かおうとした勇気。何よりスペンサーがパラシュート部隊に落ちて救命士にならなければ撃たれた人は助からなかったわけです。

そして彼が信条としていた「いざという時に行動できるか」。その気持ちが無ければ勇敢な行動を取ることは出来なかったでしょう。様々な出来事が必然的に絡み合ってラストに収束する展開は、イーストウッドの『ヒア アフター』にも近いですが、実話なぶん本作の感動がより増しますね。

最近のイーストウッドは実話ベースの話が多いですがどれも面白い。本作と最新作の『運び屋』を見てイーストウッドは最も大好きな監督の一人と改めて確信しました。