ゲイリーゲイリー

ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋のゲイリーゲイリーのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

男女逆転版のシンデレラストーリーという範疇に留まらず、男女という垣根を取っ払い互いを尊重するパートナーとしての新たな形を提示した新しい作品。

シャーリーズ・セロン演じるシャーロットは絶対的美しさやカッコ良さ、知性とユーモアはもちろんのとこ、時折見せる人間臭さが非常に魅力的だった。
セス・ローゲン演じるフレッドはユーモアに溢れ、自身の信念を決して曲げない頑固な男性。
そんな2人が次第に惹かれ合う描写は様々なジョークや下ネタに満ちており、非常にコメディ要素が強い。
しかし、それらの根底にあるのは既存の男性像や女性像に対するアンチテーゼ。
ニュース番組で、男性アナウンサーが下品なコメントをするシーンなどからも、そういったことが伺える。

また、男女に関する鋭い視点のみならず、他者をカテゴライズすることの愚かさについても描かれていた点が、個人的には好きだった。
フレッドの親友ランスが共産党だったと打ち明けるシーンで、フレッドが今までランスから励まされた言葉の数々が共産党の言葉だと知りショックを受ける。

言葉の真意は変わらないはずなのに、どこに所属しているかやどういった宗教を信奉しているかによって、それを拒絶し耳を傾けないことの愚かさが描かれており、非常に好きなシーンの一つだ。

自らの夢の実現のためには、妥協することも必要だと自らに言い聞かせていたシャーロット。
そんな彼女が、信念を決して曲げず自分を貫き通す頑固なフレッドに感化され、少女時代に憧れた大人へとなるため信念を貫くことを選ぶ。
一方のフレッドも、自身の信念を決して曲げない頑固さを持っていたものの、愛するシャーロットのため譲歩するということを、自らの選択肢として加えるように。

パートナーとなる上で必要なのは、社会的地位でも美貌でも、金でもない。
本作は、お互いがお互いのために歩み寄ることこそが、パートナーとして何よりも大切だと再認識させてくれた。