Rocko

ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋のRockoのレビュー・感想・評価

3.8
シャーリーズ・セロン演じる才色兼備の国務長官とセス・ローゲンが演じる冴えないジャーナリストの恋愛をシニカルに描いたラブコメ。
今まで描かれてきた男女ラブコメの常識を見事に逆転させ、男が言うような下ネタをサラっと吐いてしまうシャーリーズ・セロンが男前で痛快。

『ハングオーバー』シリーズのトッド・フィリップス監督が差別や偏見をはじめとする社会問題を人々が認識しよう、自覚的になろうという「ウォーク・カルチャー」のせいでコメディが撮れないと『ジョーカー』を製作した近年でコメディの作り辛さを悠々と超えてしまったような完成度の高い作品でした。

女性を優位に持って来ながらセクハラ問題を提起し、ユダヤ系、ネオナチやらの人種差別や宗教、党派などの社会問題を笑いに変えて軽いノリで仕上げるという秀逸さ。よく練られでますね。
もちろん製作に主演2人の名前があり、自分で考えたんじゃないかと思うほどセリフに熱がこもってます。
ありえない突飛な行動や展開もコメディと割り切れば楽しめました。

ただ字幕のセンスがイマイチでやたら若者っぽい言葉で面白くしようとしているのに興ざめ。
「ディスる」ぐらいはいいのですが、ネオナチが周りにいるだけで「Here We go」を「マジ卍―!」と言い換えたり「ネッキング」(=互いに首に抱きつき、キスしたり愛撫したりすること)を後の説明なしでそのまま訳していたりと、せっかくの大人ラブコメが字幕のせいでB級っぽく見えてもったいなかったです。
私の母の世代はこの字幕じゃ意味わかんないだろうなと。
口語で「マジ卍―!」なんて叫ぶオッサンおるか。ネッキングなんてペッティングより認知度低いだろ。
英語で観てた方が断然面白いのですが、コメディにしては結構疲れたのでもう1回観たいとまでは思わないかな。

基本は王道を守りつつ時代と共にアップデートされて行く進化系ラブコメという観点ではかなり面白かったです。

●2020年152作目●
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