東京キネマ

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドの東京キネマのレビュー・感想・評価

3.5
相変わらず、散漫な話です。クラシック映画のコラージュを散りばめ、大団円はバイオレンス・コメディで落とすというのも、いつもの通りです。まあ、タランティーノ本人も、タランティーノのファンも、それで良いと思っている訳ですから、何の問題もありませんけどね。

私、何の予備知識も仕込まず観始めたもんですから、シャロン・テートが出てきた瞬間、嫌〜な予感がしたんです。というのも、そのまんまやったら笑えないし、外したら、だったら何でシャロン・テートなんだよ、50年記念?、だから何?てなことになっちゃう訳で、どちらにしてもすっきりしない。

で、事件の段では、何〜んだ、外しちゃったよ、と思ったんですが、どうも外したんではなく、シャロン・テート事件の前にあったゲイリー・ヒンマン殺害事件にしたようです。ということは余韻にしたのかとも思いますが、そうなると、ある意味、終末論的な社会論のようでもあり、50年経ったアメリカでは今同じ状況になりつつある、という作為も感じるので、そういう視点とはある一定の距離を置いていたタランティーノさんにしてはスッキリしない話だなあと思うのですが、どちらにしても、2017年に83歳で天寿を全うしたチャールズ・マンソンへの憤りか、2020年の寅さん再選への拒否反応か、妄想しても良く分からないので考えるのは止めることにしました。

それよりも、1960年代を完璧に再現した街並み、車、ファッションなどなど、相当なロングで劇車を追走したショットもふんだんにある中、凄まじく金のかかった完璧なアート・ディレクションのクオリティに圧倒されました。なので、それで良しとします。
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