鍋レモン

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドの鍋レモンのレビュー・感想・評価

4.5
⚪概要とあらすじ
クエンティン・タランティーノの9作目となる長編監督作。レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットという2大スターを初共演させ、落ち目の俳優とそのスタントマンの2人の友情と絆を軸に、1969年ハリウッド黄金時代の光と闇を描いた。第92回アカデミー賞では作品賞や監督賞、脚本賞、ディカプリオの主演男優賞、ピットの助演男優賞など計10部門でノミネートされ、助演男優賞と美術賞を受賞した。

テレビ俳優として人気のピークを過ぎ、映画スターへの転身を目指すリック・ダルトンと、リックを支える付き人でスタントマンのクリフ・ブース。目まぐるしく変化するエンタテインメント業界で生き抜くことに神経をすり減らすリックと、いつも自分らしさを失わないクリフは対照的だったが、2人は固い友情で結ばれていた。最近、リックの暮らす家の隣には、「ローズマリーの赤ちゃん」などを手がけて一躍時代の寵児となった気鋭の映画監督ロマン・ポランスキーと、その妻で新進女優のシャロン・テートが引っ越してきていた。今まさに光り輝いているポランスキー夫妻を目の当たりにしたリックは、自分も俳優として再び輝くため、イタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演することを決意する。そして1969年8月9日、彼らの人生を巻き込み、ある事件が発生する。

⚪セリフ
「ドーナツみたいにリアルだよ、クソ野郎」

⚪感想
クエンティン・タランティーノ監督作品。

1969年のハリウッドを描いた作品。当時の俳優さんが出演していたり、作品のオマージュ的なものがあったり。
タランティーノ監督の映画に対する愛が詰まっている。

ある意味で他の映画と比べ淡々とした特に大きな出来事のない日常を描いているだけなのに出演者の演技と物語の内容が飽きさせずむしろ引き込んでくる。

レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットが最高。
とにかく歳の重ね方が最高。老いるってデメリットしかない気がしてしまうけど、今の年齢の2人の哀愁と人生の積み重ねが映像に溢れててパワーを感じた。
そしてそしてリックとクリフのバディ感、相棒感が好きすぎる。ちょいちょい悲しんだり怒ったりするリックをなだめるクリフがめちゃくちゃ良い。

リックは割と脆いというかちょっと心が折れ始めているところで危うさがあった。それでも一つ一つの行動に愛おしさがでてしまうぐらい人間らしく可愛い。ちょっとした事で凹むし悲しむし怒るし。

クリフはいつも飄々としていて落ち着きがある。
個人的にクリフは特定の彼女を作らず、可能であればずっとリックに寄り添っていそうなイメージだし、目の前で殺しが怒ってもおどけて見せてへへっとか言いそうなイメージ。

マーゴット・ロビー。
出演シーンはそう多くないと思うけどシャロン・テートの天真爛漫さというか魅力が詰まっていた。

ある意味予備知識が必要な作品だった。
それを超えてくる展開ににやにやしてしまう。

架空の人物リック・ダルトン、クリフ・ブース。実在した人物シャロン・テートやロマン・ポランスキー、スティーブ・マックイーンとブルース・リー。

架空の人物、実在の人物、当時のハリウッド、実際の事件など上手く取り入れながらミックスして描かれていて面白い。
2時間越えという感覚はなくイッキ見した。

アル・パチーノにカート・ラッセル、ゾーイ・ベル、マヤ・ホーク、ティモシー・オリファント、ダコタ・ファニングとそれぞれの役どころも良かった。

こちらもまたクリフ・ブース役にトム・クルーズが候補になったと報じられたことがあったとか。



⚪以下ネタバレ




妊娠中のシャロン・テートが1969年の8月9日に3人のカルト信者に襲われ、母子ともに亡くなったという現実の出来事。
ある意味これを知っていれば物語のラストはそこに繋がってくると思う。それを裏切ってくるラストが凄すぎる。
リックとクリフが中心だが、シャロンの物語も語られ、途中でヒッピーたちの関わりも強くなっていく。個人的にクリフが仲良くなった女の子から、クリフが男を殴ったことで彼らが復讐に来て、家を間違えシャロンたちを殺してしまう展開かと思ってしまった。
事件当日はクリフはワンちゃんと散歩に行くし、リックはヘッドホンでプールの上に。こんな展開予想だにしていなくてびっくり。
クリフとワンちゃんのコンビ芸凄かった。音だけでもはやR18な気もしなくはないがクレイジーで良かった。頭を容赦なく打ち付けるクリフ良い。
そしてリックは火炎放射器で1人を丸焦げに。

途中のリックと女の子との物語が好きだった。あの女の子絶対いい女優さんになるだろうと映画の中のキャラクターだけど思ってしまった。現実で大女優にもなって欲しい。

割と違和感のないリックの『大脱走』がじわじわ。

⚪以下ストーリー(Wikipediaから引用)
かつて西部劇を中心にテレビスターとして名を馳せていた俳優リック・ダルトンは、カウンターカルチャーの影響で変容しつつあるハリウッドの中で時代の流れに取り残され、今やドラマの悪役や単発企画へのゲスト出演に甘んじていた。リックの親友で専属スタントマンのクリフ・ブースもリックと同様に時代の流れの煽りを食い、また過去に自身が起こした出演者とのトラブルもあってリックの世話係を務める毎日を送っていた。そんな中、シエロ・ドライブにあるリック邸の隣にまさに時代の寵児となりつつあった映画監督ロマン・ポランスキーとその妻で売り出し中の若手女優シャロン・テートが引っ越してきていた。

1969年2月8日、リックは西部劇愛好家で映画プロデューサーのマーヴィン・シュワーズからイタリアの西部劇映画への出演を勧められる。ハリウッドスターとしてのプライドから誘いを固辞するリックは、ハリウッド俳優としての限界を改めて突きつけられたとクリフに泣きつき、自身とは正反対に多くの友人に囲まれながら華やかで幸福な前途洋々の生活を送るポランスキー、シャロン夫妻を苦々しく見つめるのであった。

1969年2月9日、リックはクリフの運転で撮影現場へ向かう。リックから撮影中に家のアンテナを修理しておくように依頼されたクリフは屋根の上から、ポランスキー邸に向かう一台の車を目撃する。やがて車から降りた男に対して、ポランスキー邸に出入りしているシャロンの元恋人で友人のジェイ・シブリングが声をかけると、男は「“テリー”を探している」と言う。ジェイが「ここは1ヶ月前からポランスキーの家だ」と返すと男は去っていった。

若手俳優ジェームズ・ステイシー主演のテレビ西部劇『対決ランサー牧場(英語版)』に悪役として起用されていたリックだったが、監督から髪型のチェンジや、付け髭などを要求され、「テレビ映画の演技ではなく、映画の演技を見せろ」と言われて困惑する。さらに、前夜の深酒の影響から何度も台詞を飛ばしてしまう。トレーラーハウスで気合いを入れ直したリックは、悪役としての見せ場であるシーンの撮影でスターならではの怪演を見せつけるのだった。

その頃、シャロンは休日を1人で過ごしていた。ショッピングの帰り道、自身が出演した映画『サイレンサー/破壊部隊』が上映されている映画館の前を通りがかり、自分の名がクレジットされたポスターを眺めて気を良くしたシャロンは、受付係に「この映画の出演者なの」と声をかける。怪訝な顔をされながらも何とか入場を許され、自身の演技に対する客のリアクションを見て満足気な表情を浮かべるシャロンだった。

一方、リック邸のアンテナ修理を終えた後、気ままにドライブしながらリックの迎えまでの時間を潰していたクリフは、ヒッチハイクをするヒッピーの少女プッシーキャットをピックアップする。プッシーは行き先を「スパーン映画牧場」と告げるも、クリフにとって馴染みの撮影所であった牧場について彼女が「仲間と暮らしている」と語ったことに違和感を感じた彼は、牧場主のジョージ・スパーンに挨拶するためという口実で牧場を訪れる。牧場に着くと、車から降り立ったクリフをヒッピーたちが取り囲む。ヒッピーを説得しジョージとの再会を果たしたクリフであったが、ジョージは両目を失明した上記憶も混濁している状態で軟禁されていた。牧場は「チャーリー」という人物を崇拝するヒッピー集団のコミュニティとなっていた。

半年後の1969年8月8日、リックは妻のフランチェスカ・カプッチとクリフと共にロサンゼルスへ向かう飛行機に搭乗していた。『対決ランサー牧場』への出演後、リックはイタリア映画への出演を承諾し、クリフと共におよそ半年間のイタリア生活を過ごしていたのだった。半年の間に出演した4作品はいずれもイタリア国内でヒットし、2人はある程度の成功を収めていた。ロサンゼルスに着いた2人は街のレストランで食事を共にし、深夜(明けて8月9日)、泥酔してタクシーにてリック邸に帰宅した。

ポランスキーとの子を身ごもっていたシャロンは、大きく膨らんだお腹を抱えながらジェイら友人と共に街のレストランで食事を摂り、その後夫の留守を理由に彼らを自宅に招いた。

クリフが愛犬のブランディの散歩に出た後、リックが追加のマルガリータを作ろうとキッチンに立った頃、4人の男女を乗せた一台の車がシエロ・ドライブに現れた。リック邸の前に停車した車のエンジン音に苛立ったリックは4人を恫喝し、その勢いに気圧された4人は足早にその場を後にした。「チャーリー」からの命令により旧テリー・メルチャー邸に住む人物(即ちシャロンら)の殺害を企てていた4人であったが、自分たちを恫喝した人物がリック・ダルトンであることに気づくと、「リック・ダルトンのような殺人を演じた西部劇スターこそが自分たちに殺人を教え込んだ張本人である」「殺しを教えた奴らを殺そう」と標的をリックに変更する。

マンソン・ファミリーがリック邸に押し入ると、ちょうど散歩から帰宅したクリフとブランディが彼らを迎えた。ファミリーのリーダー格の男テックスはクリフに銃を向け、奥の部屋で寝入っていたフランチェスカもナイフを突きつけられる。しかし、クリフがブランディに対して合図を出すと、ブランディはテックスの腕に噛みつき、クリフも怯んだファミリーを容赦なく袋叩きにする。1人プールで酒と音楽に浸っていたリックだったが、クリフとブランディから攻撃を受け半狂乱になった女がプールに飛び込んでくる。手にした銃を四方八方に乱射する女に対し、リックは過去の出演作で使用した小道具の火炎放射器を取り出し女を焼いて制圧した。

やがて警察と救急隊が駆けつけ、ファミリーの遺体と負傷したクリフを搬送、リックとフランチェスカは事情聴取を受ける。クリフを見送りその場に佇むリック。騒ぎを聞きつけやってきたジェイがリックに声をかける。シャロンもリックの身を案じ、他の友人と共に自宅へ招き入れるのであった。

⚪鑑賞
GYAO!で鑑賞(字幕)。
鍋レモン

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