あなぐらむ

セックス・ライダー 濡れたハイウェイのあなぐらむのレビュー・感想・評価

3.7
はっきりと蔵原惟二のアクション映画志向が出たロマンポルノの佳作。
限定された場所、人で構成されており無駄がない。
田中真理の眼力が存分に生きる役柄で、少々男性の都合の良い女に変わっていくのはご愛嬌。
日活ニューアクション時の藤竜也のアクトが重なる、吉澤健が素晴しい。

性をアクションとして撮るのではなく、アクションと隣接させる(主に車が舞台になる)試みであり、曖昧にされていた死が彼岸への入口のような湖畔で決定的になり、逃避行に移行するという浅井達也脚本(「野良猫ロック 暴走集団'71」)の組立はきわめてロジカルだ。
田中真理の乗る車が「野良猫ロック マシン・アニマル」のノボ(藤竜也)の劇中車(ニッサン・シルビアワゴン)で、横浜から始まる話なのも面白い。山崎善弘撮影が今回も見事で、中盤の幽玄なススキ野原の引き、クライマックスの車内セックスの美しさまで緩急自在、作品を牽引する。