きょう

生きてるだけで、愛。のきょうのレビュー・感想・評価

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)
3.6
趣里演じる過眠症で引きこもり気味の寧子は、菅田将暉演じる恋人でゴシップ雑誌の編集部勤務の津奈木と一緒に住んでいる。感情のコントロールが苦手な彼女は、そういう自分に本気で向き合おうとしない津奈木に苛立っていた。ある日、仲里依紗演じる津奈木の元恋人の安堂が現れ、寧子を追い出すために、勝手にカフェバーのアルバイトを決める。渋々働きだした寧子だが、少しずつ店の人に心を開くようになり......。


双極性障害なのか、性格的なものなのか、感情のコントロールができない女性、寧子。見ていてとても辛かったです。
しかし、やり場のない気持ちと闘っている本人が一番辛いのだと思います。
最初は寧子の恋人である津奈木は、そんな彼女をどんな角度からも受け入れていると思いましたが、どこかで自身にブレーキをかけてしまっていて、心の底からは受け入れていない様子が見られました。
そんな津奈木の気持ちを先読みしているのか、津奈木に優しくされればされるほど、彼にあたり散らす寧子。
きっと、彼女がこうなってしまったのは、心から向き合ってくれる人がいなかったからだと思います。
ある日、津奈木の元カノの安堂が現れ、津奈木とよりを戻そうとして、邪魔な存在の寧子を自身の知っているcafeで働かせるように仕向け、しかし、寧子はそのcafeで働く人たちの心の温かさに触れ、寧子もこれで居場所を見つけられたのかと思いきや、やはり本来の自分が出れば出るほど難しいこととなり…
安堂もかなり心の闇が深いと思いました。もう、終わった関係に執着していて、津奈木を愛しているというより、彼に依存している…
ちょっとしたことから感情のコントロールが難しくなり、cafeから逃げ出す寧子がとても印象的でした。走りながら、着ていたものを徐々に脱いでいく姿、必死に気持ちのやり場を見つけているかのように見えました。それを追いかける津奈木。
津奈木も仕事をクビになり、苦しんでいました。
津奈木に対して自分の思いを全て打ち明ける寧子、そんな津奈木も寧子に対して心から向き合うことができるのでしょうか?
私にはほんの少しでも分かり合えたような気がしました。


自分の中で思い描いている理想があって、その通りにいくことはなかなか難しいこと。感情のコントロールが難しい人はできなかった時にそれで自分自身を責めたり、自己肯定感が低くなってしまう気がします。
寧子ももう少し「できない自分もいるんだ!」「できなくって当たり前」と自身を違った角度から見れれば生きやすいのではと思いました。
寧子役の趣里さんは水谷豊さんと伊藤蘭さんの娘さんだそうで、お二人と似ていないので意外でしたが、演技力はしっかりお二人の素晴らしさを引き継いでいますね。人間の脆い部分を圧巻な演技で見せてくれました。
菅田くんも繊細な役を熱演していて良かったです。彼は本当にどんな役もやり切りますね💘
きょう

きょう