小松屋たから

そらのレストランの小松屋たからのレビュー・感想・評価

そらのレストラン(2019年製作の映画)
3.6
大泉洋主演の北海道シリーズ三部作の第三作。
毎回ひとつの「食」がテーマで本作はチーズ。

監督が代わったんですね。

明らかにその影響で、
これを三部作と言っていいのかどうかわからないほど、前二作とはまったく別物になったと思う。

第一作の「しあわせのパン」、第二作の「ぶどうのなみだ」が、前衛的なアート志向の作品だったのに対し、本作は、実際に存在する団体の話が元になっているためか、そもそも製作サイドが前二作の方向性を変えたかったのか、かなりリアルを意識した作品になった。行政組織がより絡んでいる雰囲気もある。

なんだか、よくある「ご当地映画」になってしまったな、と思わなくもないが、ただ、間口が広くなったことも確かで、三作の中で、一番、北海道をストレートに映し出そうとしている。

物語も、中盤~最終盤の男たち一人ひとりの行動、告白は自分には必要以上に長く感じたが、「笑い」と「泣き」の要素がほどよく盛り付けられていて、気楽に観られる健康的な作品であることも間違いない。

何より、前二作に比べて、演じている役者さんたちがリラックスしていることが伝わってくる。それは、やはり、演じているのが等身大のキャラクターで、舞台も地に足の着いた現実感のある北海道だからだろう。

アートとしては何か後退したかもしれないが、エンターテインメントとしては前進したかもしれない。

色々考えさせられる「三部作」でした。