小松屋たから

来るの小松屋たからのレビュー・感想・評価

来る(2018年製作の映画)
3.8
全然ホラーではなく、人の心の闇が呼びよせる何かが「来る」のを迎え撃つお祓いエンターテインメント。妻夫木聡&黒木華の夫婦の関係、お芝居がとても良い。正直、この夫婦の物語を描くだけで、実はお祓いの部分は無くても十分映画として楽しめるんじゃないかとさえ思った。

ある程度のすれ違いは世の夫婦、すべてにあるはずで、このレベルで「あれ」が子供にあんなに強烈に「来る」のであれば、すべての子供がいる家庭に「あれ」は「来る」可能性がある。だから本作は物理的にはまったく怖くなかったが、色々問いかけられる作品だった。

ただ、大掛かりなお祓いバトル、こんな突拍子もない場面は、今まで観たことなかったからそれはそれでかなり面白かったけれど。

中島監督らしいコミカルなシーンのあとすぐに観客を奈落に突き落とすようなカット割りと構成、音楽の使い方は健在。

血は大量、虫も何度も出てくるが、寄り過ぎの映像では無いし、それらが苦手な人でも全然大丈夫。色々、好き嫌いが分かれる作品だと思うので、だからこそとりあえず観ても良いかも。