これはホラーではない。
育児エンターテインメントだ。
中島監督×ホラーは気になったが、監督はホラーに全く興味がない。何が来るのか、見終わった後も何が来たのか全く分からない。そりゃそうだ。描く気すらないのだから。
中島監督が描きたかったのは人間の闇。
例えば、開始早々の田舎の葬式の下りで、田舎の嫌な部分を畳み掛けるような描写などはこのシーンだけでも必見の価値がある。
夫婦を描く一章、二章までは瞬きすら惜しいほどに見事。これほどに育児を取り巻く環境を残酷に鮮やかに描くことに凄まじい狂気を感じる。
最後の章は、ホラーを期待していた自分にとってはあまりにエンターテインメントに全振りしていたので物足りなかったが、仕方ない。何が来るのか、描くつもりがないのだから。
それを差し置いても前半の面白さに浸る良い作品だった。
