風来坊

サタデー・フィクションの風来坊のレビュー・感想・評価

サタデー・フィクション(2019年製作の映画)
3.5
ロウ・イエ監督、久しぶりにその名を聞いて久しぶりに作品を観ました。多分、観るのは「スプリング・フィーバー」以来…。

よく比較されるウォン・カーウァイ監督に比べて、大巨匠にはなれていないけれど。中国当局と揉めながらもセンセーショナルな作品を世に出し続けているこの人も映画通に愛されてる監督という印象。

2019年の作品がいま頃入って来るのはやはり紆余曲折があったのだろう。
コン・リーさんも久しぶりに見た気がするけど、もう60歳近いのにあまり変わっていないなと驚き。まあモノクロでちょっと誤魔化されてる気がしないでもないけど(笑)
著名な女優にスパイ疑惑、ミステリアスな役柄が似合う人だから合っていました。

本作が映画デビュー作なのかな?主人公に怪しげに近づく女記者役のホアン・シャンリーさんが可愛い。
各国が入り乱れる魔都と言われた上海。上海租界とも言われた時代なので日本軍も暗躍。オダギリジョーさんなど中島歩さんなどかなり日本人キャストも多い。

観ていて思い出したのですが、この監督はカメラが役者に付いちゃうんじゃないかと思うくらいクローズアップ撮影が好きなんですよね(笑)
スパイ映画だから仕方ないとはいえ前置きが長い…。劇のシーンや会話などこれは重要かそうでないか取捨選択が難しい…。

BGMもなくモノクロで凝った映像に複雑な人間関係。見応えはあるものの、スパイ映画として終盤以外はハラハラドキドキするものがあまり無い…。もちろんそういう方向性の映画でない事は承知していますが…。
混乱の時代が更なる混乱を生みその果ての愛…。私の好みではありませんでしたが刺さる人にはとことん刺さる作品で監督にコアなファンが付いているのも納得でした。
風来坊

風来坊