新潟の映画野郎らりほう

雪の華の新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

雪の華(2018年製作の映画)
2.5
【模造の極光】


美雪(中条あやみ)が暮らすアパートメント窓辺から覗く河畔や、悠輔(登坂広臣)とのデートで乗船する河川上の遊覧船。舞台が異国の地に移っても二人は変わらず河辺を散策し続ける。
何より二人が最初に邂逅するのは河川に架かる橋梁上である。

執拗に頻出するそれら“河川”。
日中の陽光や夜間の街の灯りが 川面に鏡写し生起する“揺蕩う薄光”は、美雪が見る事を願って止まなかった“オウロラの模造/代替品”として哀しく彼女の前に顕れ続ける。
同時に そのイミテーションオウロラは、彼女の“模造の恋”とも呼応するだろう。

キャンドル並ぶ終極は、マッチに焔灯す度 幸福な夢立ち現れるあの寓話の様で…。
それは言わぬが“華”だろう。




《DVD観賞》