新潟の映画野郎らりほう

ライトハウスの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

ライトハウス(2019年製作の映画)
4.0
【灯台が指し示す“ to die ”】


ただでさえ画面サイズはスタンダードと手狭であるのに、主人公ウィンズロー(パティンソン)の姿は 部屋間開口部や貯水槽越しに映し出され(フレームインフレーム)、彼が狭小な枠組み/フレーミングに依って“囚われて”いる事が強調される。

色の無い世界。猛嵐。螺旋階段。咆哮思わせる霧笛。壁から天井に迄伸びる自身の巨大な影。そして、手の届かぬ高みで輝く光明…。



常軌を逸しているのは あくまで“表層的/物語的に”であり、映画構造的には 逆に ひじょうに丁寧/理路整然とされており、ディテール群から作品趣意を感取し易い『解り易い作品』と言ってもいいだろう。


ウィレムデフォーを極端に戯画/カリカチュア化し描くのも、後に彼を 寓話/神話化させる暗示である事は容易に察しがつく。

この解り易い映画構造が、作品主題系である〈迷妄〉に反しており、主題と構造が相殺し合っているのが勿体無い。


理解不能だから恐ろしいのであり、説明可能なものなぞ 何らも戦慄しない。
観客を置き去りにする程 突き抜けて欲しかったところだ。


但し、30―40年代作品と見紛うモノクロームのルックは極上である。




《劇場観賞》