ひらまさ

ライトハウスのひらまさのネタバレレビュー・内容・結末

ライトハウス(2019年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

とある絶海の孤島にたどり着いた2人の灯台守。
外界から遮断された世界の中で、ベテランの灯台守・トーマスと新人・ウィンズローは何とも噛み合わないまま共に過ごしていく。
4週間に渡って灯台での仕事をこなす2人であったが、島に嵐がやってきて孤立してしまう。
お互いの秘密、幻覚、次第に現実と妄想の境目が溶けていく…A24が贈るスリラー作品。

非常〜〜〜に好きな作品でした!
R15指定作品だったのでグロテスク描写にビビって友達に付き添ってもらって鑑賞しに行ったのですが、事前にFilmarksでプロメテウスの神話がストーリーの一部に組み込まれているということを拝見していたので勉強していきました!
それもひとつの理解への助けになったのだと思います。レビュー先駆者の皆様、ありがとうございます!
さて、作品についてですが段々と男たち(というか主にウィンズロー)が狂っていくさまが見れます。
汚くむさ苦しい男たちの言い合いや圧の強い嫌な上司からの激務を押し付けられたり…
いや、これは一緒に働く上司に難アリですね。

映像も非常に美しく、モノクロにほぼスクエアの画面比率。
非常に古めかしい映像に仕上がっているのですが、その古さが逆に良く…1801年に起きた実際の事件をベースにしてるんですよね。映画内の時代設定はもう少し近代のようですが、撮影機材もその時代に近いものを使っているようで…。
映像からもそのこだわりが見て取れます。
また、音楽も非常に不快感をまくし立てられるというか…イヤ〜な感じの音楽に仕上がっています。
船の軋む汽笛の音に限りなく近いような木管の音だったり…美しいと思える音が限りなく少ないサウンドになっています。
そのサウンドと一緒に、なんとなくこの状況への不満というか焦燥感を観客も感じられます。

演技に関してもデフォーとパティンソンの狂い具合が最高です!
映画後半、水道水が飲める状態ではないので2人ともだんだんとアルコールに依存していきます。
終盤はもうアルコールというか、灯油を飲んでるのですが…それ飲めるの?
最初は真面目に仕事をしていたウィンズローもアルコールに溺れるようになり、幻覚に惑わされるようになり…
酒を飲みながら危なっかしく仕事をするウィンズローだったり、浜辺で人魚を見かけたり…いや、人魚のくだりは割と序盤からあったかも… 夢を見てたのかなあれは。
でも人ならざるモノを見たのにそれをオカズに自慰できるウィンズローすごいなと…だいぶハードな性癖してるなと思っちゃいました。
多分人魚だったけど性器の表現がありましたよね?位置がめちゃくちゃエッチなマンガで読んだやつと同じじゃん!と思って興奮した覚えがあります。
ああいうマヌケな自慰シーンは5周回って滑稽で見てて面白いです。汚いけど。

また、今作は灯台の明かりに対して異様なまでにウィンズローが執着しているさまが描かれています。
最終盤にようやっとずっと触れたかった火に魅了され、触れて少しの間気持ちよくなってるのですが(その後アチィ!みたいな顔してますね)…ここの映像が非常に美しいですね。
ここまで暗く淀み、狂気を描いた画面が非常に多かったので灯台の灯りを描いた映像は非常に美しく見えます。
劇中でも美しく見えるシーンはやっぱり灯りのシーンが1番です。(人魚ちゃんごめん…)
だからこそ観客も灯台の灯りに魅了され、この汚いしがらみから解放される気持ちにされます。
灯りに触れている時のウィンズローの顔も非常に魅力的ですね。血塗れの顔の中に輝く瞳と表情で美しさを感じます。自慰のシーンや仕事をしてるシーンとかでもそうですね、汚いんだけどもウィンズローの顔の美しさがそれを中和しているような雰囲気があります。

最後にウィンズローは殺してしまったカモメに内臓を啄まれているわけですが…
ここがプロメテウスのオマージュなのですね。
非常に神話や様々な作品のオマージュを見受けられる作品でしたが、非常に見てて楽しい作品でした。
映像の美しさも相まって!驚かされたり汚かったり、見るのに多少の体力を使う作品ではありますがその分考察も非常に楽しいです。
ご興味のある方は是非劇場であのほぼスクエアの画面を味わって欲しいと感じました!
鑑賞した後の方も、よく分からなかったな〜という場合は公式サイトにネタバレありで理解を深めるための情報が公開されておりますので是非ご確認頂ければ一層この作品を楽しめるかと思います。
ひらまさ

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