エソラゴト

COLD WAR あの歌、2つの心のエソラゴトのレビュー・感想・評価

COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)
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今年度のアカデミー賞外国語映画賞を最後まで争った作品は奇しくも同じモノクロ作品。『ローマ』はアルフォンソ・キュアロン監督の幼少期の家政婦を、そして今作のパベウ・パブリコフスキ監督は両親をモデルに国や年代は違えど政治的混乱による激動の時代を静かに抑制を利かせながらも情熱的に描いています。

今作は題名にも冠する1950年代の冷戦期を舞台とするだけあって、恋する2人には政治的な事柄を含め様々な障害や障壁が立ちはだかります。ただそういった困難は大きければ大きいほど、愛おしさや結びつきは強く熱く激しく燃え上がるものー。

音楽を介して結ばれた2人の心情は会話で交わす言葉以上に音楽が重要な意味を持ち、運命さえも左右していきます。その劇中で聴かれる音楽もポーランドの民謡をはじめとても厳かで美しくいつまでも耳に残ります。時代に翻弄され波瀾万丈の末に彼等が最後に辿り着いた先には…。言葉では言い尽くせない強くて深い余韻が残る作品でした。