あなたにとって年を重ねることってどんな気持ちですか。ただひとりだけを心に映して、壮大な大地を彷徨うその強さは、どこから湧いてくるのですか。あなたがスクリーンの中に現れたその瞬間から、一本の線がぴんと張ったような凛々しさを感じていた。物語が進んでいくにつれて伝わってくる、川の流れのように一方向かと思えば急に向きを変えていく予測不可能な人生に、どんな雨が降ろうと歩むことをやめない強さ。時とともに変わっていく多くのものの中から、それでも変わらないものを見つけて、あの頃と変わらずに接することのできる強さ。それから、その強さの裏にある避けようもない孤独。私は、あなたが流さなかった涙の一滴を想像して、身を震わせている。愛する人が自分と同じくらい愛してくれること。離れていても自分のことを大切に思ってくれていること。それはきっと恋をした時に心に浮かんでくる純粋な感情だけど、叶うことはほんとうに少ない。報われなくても、時がどれほど過ぎ去っていこうとも、薄れていくことも細くほつれていくこともなく持ち続けて、あなたはじっと待っていた。私はその17年を瞼に焼きつけて、届くことのない問いかけをあなたに向かって続けている。
移ろいゆくことの残酷さ。流されていくことの愚かさ。でもこの残酷さや愚かさには悪い意味だけではなく、影の中にあるうつくしさと同等のものが含まれていた。
