エソラゴト

バハールの涙のエソラゴトのレビュー・感想・評価

バハールの涙(2018年製作の映画)
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ISのクルド人への極悪非道な所業は報道で伝えられる内容でしか知り得ませんでしたし、ISを含め諸地域の成り立ち・歴史的背景などは今作の中では特に語られてはいませんが、パンフには詳細が載っており補完する事で改めてやり場の無い強い怒りと憤りを感ぜずにはおれませんでた。

女性部隊のリーダー役バハールを演ずるゴルシフテ・ファラハニの指揮官に意見する利発さや女性兵士達を鼓舞する力強い勇姿には出演作『パターソン』のお茶目な奥さん役の面影は全くなく、その寡黙でストイックな熱演振りには胸を打たれました。

「女性に殺されたら天国へ行けない」…イスラムの兵士達はそう信じて脅威に感じていること、そして「女 命 自由」と高らかに歌い上げる彼女達の姿は何よりも崇高であり美しく見えました。

原題でもある『太陽の女たち』の方が邦題としてはしっくりくるものの、最近鑑賞した『家へ帰ろう』同様に最後の最後で題名の意味を持たせている点で『バハールの涙』もこれはこれでベストな邦題だと感じました。

ノーベル平和賞受賞したナディア・ムラドを追ったドキュメンタリー『ナディアの誓い』、並びに今作でも戦場記者マチルドのモデルとなった黒眼帯の女性戦場ジャーナリスト、メリー・コルヴィンの伝記映画『ア・プライベート・ウォー』も併せて鑑賞したくなりました。