【第71回カンヌ映画祭 コンペティション部門出品】
『別離』アスガー・ファルハディ監督作。ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデムを主演に据えスペインで撮った作品。
いつもの夫婦の話かと思っていて、こんな本格サスペンスだとは思っていなくてびっくりした。ファルハディらしい静かな緊迫感に満ちた一級のサスペンスミステリー。
激しい会話の応酬はあまりないが、その代わりに視線の動きでみせていく演出が上手い。家族間はもちろん序盤の街の人々、カメラ、ドローンなど「見る」ということを不穏に描いているのが本作の特徴。
その秘密自体はありふれたものであるが、それによってじりじりと近しい人の間に不協和音が広がっていく様子はまさしくファルハディ。
ペネロペを筆頭にキャストみな素晴らしい演技。バルデムもいいけどペネロペの夫役のリカルド・ダリンがいい。バルデムと正反対に誇り高そうな感じっていうのかな。風格がある。のに…という展開もいいね。
ただ惜しいなというのもある。なんで終盤あんな分かりやすく真相みせちゃったんだろう。少なくともあっち側の描写はいらなくない？マリアナが疑念を抱くくらいにしておいた方が最後も味わい深かった気がする。靴の泥で大体分かるじゃん。
さすがファルハディという一級のサスペンスであったがみせすぎに感じた。でもおもしろかった。流石です。
