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アラジンのMoviePANDAのレビュー・感想・評価

アラジン(2019年製作の映画)
3.7
『 克 己 心 コッキシン
~SELF-SACRIFICE~ 』

今年の劇場鑑賞作に見る豊作ぶり🌾✨ こんなにも観る作品観る作品が“当たり”の年というのも、今までちょっと無かった気がします。さて、「最新技術を用いて甦らせる」という共通点がありながら、今回の『アラジン』は丁度1週前に観た『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』とはある違いを感じた作品でもあったのですが...

『アラジン』と言えば“誰もが知る作品”という認識はありながら、実は今まで、厳密に言えば娘が生まれるまで観た事ありませんでした。(スーファミのアラジンは誰かに借りてやった気がします📺🎮) 何せディズニーに限らずジブリですら大人になるまでトトロしか観た事無かったボクですから... どうも子供の頃からアニメには心惹かれない男の子でして💦で、今さらながらその名作の数々の素晴らしさに気付いているわけですが、『アラジン』もその作品のひとつです。

そんな『アラジン』、人気のディズニープリンセスのひとりジャスミンが出ている作品ながら、他と決定的に違う点がありました。それは彼女が主人公では無いという事。何より題名がその事を示しています。内容の方はというと、アラジンが日々自身に感じている劣等感を克服し、本当の意味で願いを叶えられるかどうかというお話。言い換えれば男女逆転版シンデレラストーリーであり、今主流となっている強いヒロイン像のさきがけでもありました。

その元の作品で重要だったのが、アラジンとジャスミンは身分的に違う立場でありながら、いずれも満たされない日々を送っている、いや厳密に言えば満たされていないと各々が感じているという点。で、そのポイントは今作でも変わらず重要。要はふたりが求めている事は共に心の解放であり、それが“飛翔”に全て昇華されるからこそ、あの名場面が本当の意味でのハイライトになっていたと思います。

「 責務 と 意志表明 」

今回、ガイ・リッチー監督は、意外と思われたであろう自身の抜擢について、こう述べています。

「僕には5人の子供がいる。だからファミリーに向けた映画を作ることには大きな魅力を感じていたんだ!『アラジン』のオリジナルのイメージをすっかり洗い流してしまうほど過度にやり過ぎることなく、且つこの作品にフレッシュさを与えて、より価値あるものに仕上げるのに十分な技術と経験を持っているよ。」
ボクが子供が生まれて人生観変わった様に、彼もまたしかりだったのでしょう。あのDIVAと『Swept Away』した事を忘れてしまう位、もれなく全世代対応型超大作してました😃

ただ、この映画が2019年という現在における全世界向け商業作品であるという事、またそれを監督曰く“十分な技術と経験”を以てこしらえたという事が、良くも悪くも映画に表れていたとも思いました。要は当時との男女格差の違いを盛り込む事を意識し過ぎてバランス崩してる点があったのと、「この超大作を成功させなければ」という監督の責務がホントいろんな意味で映画に表れてましたね。で、これはもうしょうがないと言うしかないのではないかなぁと。前述の表現だと、あたかもそれを欠点と言ってる様に聞こえると思うのですが、決してそうじゃないんです。何たって今回の実写化において、全ての事においてバランスをとり、全ての事に配慮して“撮りあげる”事こそが監督の責務命題。それを本人の“重さ”と打って変わって“ライト”に楽しめるボクらお客はホントしあわせだと思います。

でもなんかここのところのディズニー映画って、いかに“捧げるか”みたいな。あくまで外野からの印象論でしかないのですが、公開されている現代(いま)に合わせて劇中でしっかり意志表明するヒロインとは逆行して、自己犠牲に終始する監督こそ降ろされないで済む、撮り直し喰らわないで済む、みたいな... なんだかそんなイメージがまとわりつくんですよねぇ😅

とか言いつつ、全てはディズニーがより高みを目指せばこそだと納得もしてるし、全てを傘下に収める位の勢いなのも、良い意味での何でもあり世界(パーク)の構築を目指しての事だと言うことも分かる。今までのディズニーワールドだけでも十分スゴかったのに、今やパークん中にゃそこにプラスしてスター・ウォーズやアバター、さらにマーベルのアトラクションまであるんですから❗️アイアンマン・エクスペリエンス、トロン・ライトサイクル・パワーラン、アバター・フライト・オブ・パッセージ、ミレニアム・ファルコン:スマグラーズラン、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー - ミッション:ブレイクアウト!etc 乗った事ないアトラクションも増えてきたなぁ...

ちなみにカリフォルニアのディズニーランドに行った時、世界でそこにしかない『ディズニー・アラジン - ミュージカル・ スペクタキュラー』というショータイプのアトラクションを観ました。これがホントに素晴らしいショーだったのですが、その後残念ながら別の映画の内容に変わったらしく今はもう観られないんですよね😢 そんな淋しさもあった中観た今回の実写版ですが、総体的に観てミュージカルに負けない位見せ物として素晴らしかったと思います✨ あと、彼女の意志の表明でもある『Speechless』は文句無しの名曲でした🎵


最後に『ゴジラ』と違いを感じた点ですが、元の作品に敬意を表しているという点は同じくも、『アラジン』からは手堅さを、『ゴジラ』からは良い意味での好き勝手さを感じました。あくまで個人的な所感ですが🐼
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