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search/サーチのumisodachiのレビュー・感想・評価

search/サーチ(2018年製作の映画)
4.3
物語がすべてPCやスマホの画面上で語られるという斬新さで、話題沸騰の『サーチ』!面白かった~。

デビッドは16歳の娘マーゴットと2人暮らし。妻を病気で亡くしてから、デビッドは妻の話題を避けていて、マーゴットとも何となくうまくいっていない。そんなある日、深夜の不在着信を最後に、マーゴットとの連絡が途絶える。デビッドは、残されたPCやマーゴットのSNSを通じて、マーゴットの行方を捜すのだが……。

ジャンルとしてはサスペンススリラーになると思うのだが、なんといってもアイデアの勝利。しかも、このアイデアの斬新さは後にも先にも本作だけのものだ。似たような作品がつくられたとしても、どうしたって『サーチ』の真似をしたという印象からは逃れられないだろう。

デビッドとマーゴットの間には心理的な距離があるのだが、その原因となる母親の死の経緯をプロローグで丁寧に描くことで(家族の動画アルバムという形で示される)、事件発生後からの超スピーディな展開を単なるギミックに留まらせることなく、しっかりとした家族のドラマとして説得力を持たせている。こういう作品は、どうしても仕掛けにばかり注意が向きがちで、精神的な描写などが後回しになることが多いイメージがあるのだが、『サーチ』はちゃんとしている。そういう意味では、『新感染』に通じるものがあるかもしれない。

また、本作はどんでん返しものでもある。猛烈なスピードでぐんぐんストーリーが進行し、何度も何度も見えているものが引っ繰り返るジェットコースタームービーだ。デビッドの観察力や勘が異常に優れているからこそ実現可能な展開なので、無理があると言えば無理があるし、後からよくよく考えるとおかしい点もあったりするのだが、観ている最中は粗に気付く暇も与えてくれない。あらゆる伏線を回収しまくるので、観ている方もついていったり思い出したりするのに必死になる。皆で一緒にひとつのアトラクションに乗っているような感覚を味わえるという点は、『カメラを止めるな!』にも通じるかも(大爆笑するシーンはないけど)。

それにしても、疲れた。この『サーチ』にしても、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』にしても、『クロニクル』にしても、ホームビデオっぽい映像って疲れません?見えている画面に閉塞感があるからかなあ。視界が狭い感じがして息苦しくなる。デビッドがどんどん精神的に追い詰められていくのに、心も体も同調する感じ。あと、メールの前後のやりとりなど、無意識に画面に映っているあらゆる情報を得ようとしてしまうので、頭も疲れる(英語だしね)。コンディションをバッチリ整えて観に行くのをオススメします。
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