PC画面上で話の全てが進行する、サスペンススリラーの傑作。
アイデアの勝利ではあるのですがシナリオと演出も良く出来てます。
話はアプリ参照で。母の死以来、高校生になった娘であるマーゴットといまひとつ上手くいっていない父デビッド。
ある日娘が行方不明になった。
台風の中警察と協力し、捜索するも行方はわからない。
警察に情報提供しようにも娘の学校生活等知ってるようで何も知らなかった父は遺されたPCやSNSデータから娘の情報を調べだす。
明かされていく娘の秘密、父は娘を探し出す事が出来るのだろうか？
誰もが情報を発信できる情報過多のこの時代。
スマホやPCで扱える様々なSNS、写真、動画、チャット、さまざまなモノを切り取るカメラが無数にあるって事で。
映画内の全ての映像をPC上でやり取りしてるものだけで表現するという非常に面白い試みをした作品。
デビッドのPC、マーゴットのPC、ヴィッグ捜査官のスマホ等々様々な端末の画面上で進行する話、って聞くと凄く人が出てこないイメージですが、そんな事もありません。動画記録にTV通話や、youtube、webニュース映像等上手く使って要所要所で人物を映し出してきます。
オープニングの母との映像や、カレンダーの予定表の書込、その移動等で母親に何が起きたのか、説明台詞抜きで伝えるのを観ただけでこの作品が非常に演出が上手いことが解ります。
人物の表情を出さなくてもカーソルの動き、迷い、チャットで書いたコメントを何度も書き直したり、消してみたり。PC画面上だけで結構豊かな感情表現が出来るものだなあと素直に感心できます。
スリープ画面と着信アイコン表示だけの演出はお見事でした。あまりビデオ通話とか使わない人間なんですが海外だと主流なんでしょうね。
マーゴット探しに入った後はまさにSNSの海でさまよう感じ。行けども行けども薄い関係しか存在せず、アカウントもいくつも存在し。この辺実に現代風味で良いと思います。
つうか親父エクセルで一瞬聞き込み調査表作る辺り優秀ですねえ。マーゴットの予備の予備辺りのメールパスワードが超ザルなのは少し面白かったです。
演出ばかりに眼が行きがちですがマーゴットの失踪を主体としたサスペンスとしても良くできてます。
きちんと様々な情報とヒント、伏線が張られていたにもかかわらず最終的な犯人見落としたのは映像がPC画面上で情報がたくさんありすぎた、という現代の情報過多を示しています、っていうのは言い訳です。ええ。ただの洞察不足です。
綺麗に情報や伏線と使い二転三転させて話を終わらせたのは本当に素晴らしい。
エログロゴアなしで誰にでも観やすい上にサスペンス好きなら間違いなくお勧めできる傑作です。見てない人は是非どうぞ。
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