とりん

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search/サーチ(2018年製作の映画)
3.7
2020年16本目

全編PCの画面のみの映像で構成されている異色作品。
妻を亡くし、仲良く暮らしていた父娘だが、ある日娘が失踪してしまう。
父は娘のPCなどを使い、警察などと協力しながら、失踪を追い、真相へ迫っていく話。

映像構成はPOVに少し似ているが、PCのデスクトップ上の動きなどもあり、映像だけで言えばこれまでのどの作品にもなく、映画に新たな手法を提示した作品だと思う
ネット社会である現代だからこそできた作品である。
ストーリー展開はどんでん返しありの、良くできたサスペンスだった。
既出といえば既出な内容。
こちらに関しては特に新鮮味はない。
それを上回るこの映像構成の斬新さが、新鮮である。

これをスクリーンで観るかと言われると、そこまではと言いたくなる。
スクリーンいっぱいに映し出されても、PCのデスクトップに移された画面である以上のことはなく、そこに大画面ならではの迫力も魅力も感じられない。
そういった劇場公開という点ではマイナスかもしれない。
この映画はPCで観るからこそ価値のある映画かもしれない。
PC画面上だからこそ表現できる部分も多々あった。
画面上の動き、マウスポインタなどの動きから、父の心情や焦燥感というものが伝わってくる。
特に中盤での調査してる最中、綺麗だったデスクトップがあらゆるファイルでごった返しているのは、それが表現されている最たるものであろう。

また娘の学友たちが、そんなに仲良くないと言いながら、失踪が事件とニュースになると、途端に憐れむ動画や捜索の手伝いをすることを名乗り出て良い人アピールをする事で、いいねを取りに行こうとしてる様も少し描かれており、現代ならではの闇というか事件を逆手に取り話題作りをしようとする程度の低い人間の醜い部分も見えたりした。
そういった部分でもうまく表現できていた映画であった。
どんな子どもを持っても親は子どもを愛し、信頼し、どんな形であれ守ろうとしてしまう親の本質的なところが引き起こしてしまった事件である。
とりん

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