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キングのkuuのレビュー・感想・評価

キング(2019年製作の映画)
4.5
『キング』映倫区分R15+
原題The King.
製作年2019年。上映時間140分。

ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『ヘンリー四世』2部作や『ヘンリー五世』に着想を得た物語で、自由気ままな王子が宮廷内のさまざまな問題や戦争など、混乱する時代を生きることで国王として成長していく姿を描く長編。
ティモシー・シャラメがイングランド王ヘンリー5世に扮して主演を務めた濠洲(オーストラリア)・米国(アメリカ)合作映画。

イングランド王ヘンリー4世の長男であるハル王子は、父王に反発して宮廷を出て、友人フォルスタッフらと自由な暮らしをしていた。
しかしヘンリー4世が亡くなり、ハルは後を継いでヘンリー5世となる。
国内の混乱を収めたヘンリー5世だが、フランスの挑発や宮廷内の権力闘争に立ち向かわなくてはならない。
そこで旧知のフォルスタッフを呼び、フランスへ進軍。
しかしそこには数で圧倒するフランス軍が待ち構えていた。。。

今作品のヘンリーを含め騎士たちは、現代のアニメで描かれてる、怠惰でヒョロった不名誉な騎士じゃなく、戦場では高貴な最期を遂げる覚悟をもつ堅実な兵士たちやし、
バトルフィールドてのを幻想の中に描いてるなら、今作品は眉唾モンかな。
また、戦略や戦術について議論する長い場面や、戦闘準備の整った軍隊へのお決まりの演説、そして泥の中での戦いの苦しみをスローモーションで強調したアジャンクールの壮大な戦いとか、すべてが男臭く、それでいて美しく演出されているし地味に感じるかもしれません。
また、歴史的登場人物の性質をかなり変えてたり(例えば、ロバート・パティンソン演じるドーファンはアジャンクールの戦いにも参加してないし、彼は劇的な効果のために配置されてる。ドーファンは1415年12月に赤痢で亡くなったとサンドニ大聖堂の修道士の年代記者ミシェルパントワンが記録してる)等々。
また、シェークスピア言葉から紡がれる詩的な部分を取り除いてることなど、逸脱してるとこも多々あるし疑問は残る。
しかし、実際は人生の時間は淡々と流れてるし、当時の戦闘は泥臭いものやと思う。
せやしティモシー・シャラメに引き寄せられ、彼を愛でる映画として見たなら男臭すぎてある意味裏切られる(よい意味で)。
勝手に決めつけてたけど、ティモシー・シャラメのスタイルに反した役柄に冒頭まで主演が彼だと知らなんだしチョイ戸惑った。
しかし、観進めてみると、急に重い責任を課せられた若きヘンリー5世(ハル)をティモシー・シャラメは、十二分に表現し演じきってると感じました。
私的ながら、戦いのスリルと、そして、戦争や帝国主義に対する思慮深い批判の描いてる歴史的作品やと思もいます。
映画の序盤でシャラメのか弱い肉体を強調し、彼が王位に就くにはふさわしくない人物であることを表現している。
シャツを着ていない姿が頻繁に登場し細身の体つきで少しも堂々としていない。
ヘンリーが敵のホットスパーと対峙するときなんか、鎖帷子を身につけているけど、シャラメはファッションモデル然やった。
しかし、映画が進むにつれて、シャラメのヘンリー5世は時代に合ったおかっぱ頭ながら(実際はボウルカットのヘンリー5世の肖像画は1つしかないんやけど)身長と重厚感が醸し出されてて、アジンコートの戦いで軍隊を率いる頃なんかは荒くれ者の変身してるのをチョイと神々しさしえ感じた。
演説も力強く個人的には、心が奮い立ったかな。
映画てのは観る人や、観る時の感情によって、同じ作品でも捉え方や感じることが変わりますし、まぁ感じ方が時によって変わるんが映画の面白い部分だと思います。
明日、この作品を観てみたら感じ方も変わってるやもしれませんが、今の小生のチョイ弱ってる心には響いた作品でした。
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