銀色のファクシミリ

僕はイエス様が嫌いの銀色のファクシミリのレビュー・感想・評価

僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)
3.8
『#僕はイエス様が嫌い』(2019/日)
劇場にて。「神の不在」を描く物語は古今東西様々ありますが、ここまで甘くない優しさで包まれる映画は初めて観たかも。最後のメッセージで明らかになる作品制作の動機の一端と、さらに際立つラストショットの美しさ。いい映画みたという深い満足がありました。

東京から雪深い田舎町に引っ越した転校生が主人公。馴染めない新生活を描く序盤、手乗りサイズのイエス様が現れる中盤。そして「この世は、生きる人々全てに、分け隔てなく不条理である」ことを突きつける終盤。神様の可視化という映画的な飛躍が、逆に「神の不在」を意識させる巧みな演出。

そして「奇跡があるとしたら、あの日だったんだね」なラストショット。信仰への疑問と否定に落着させず、「神なき世界」を生きる覚悟と成長を描く物語。大仰なセリフや過剰な映像効果がなくとも、ラストのメッセージを読んで、この作品に通底している意思に深い優しさを感じました。感想オシマイ。
(2019年8月9日感想)