エソラゴト

ふたりの女王 メアリーとエリザベスのエソラゴトのレビュー・感想・評価

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つい先月鑑賞した『女王陛下のお気に入り』同様、英国を舞台とした宮廷物語。ランティモス監督特有のブラックユーモアや史実を大胆ににアレンジした変化球多様な(時にビンボール気味な)作風とは違い、こちらは勿論改変部分も有りますが割と直球勝負の正統派歴史物。

今作で初メガホンのジョージー・ルーク監督の女性ならではのその独特な視点による描き方を今が最も旬の2人、シアーシャ・ローナンとマーゴット・ロビーの対称的でそれでいて堂々とした女王っぷりで見事に体現していました。

正反対の性格の2人の女王の王位継承権を巡る駆け引きやせめぎ合いの熾烈さもさる事ながら、それを取り巻く臣下達の策略や謀略の狡猾さや腹黒さには権力に対する棒取り合戦はいつの時代も変わらないのだという失意と絶望感を改めて覚えました。

そんな中、お互いに容姿や女性としての生き方などに対して嫉妬や羨望を交えつつ何度もの書簡のやり取りを通じて虚無感や孤独感に共鳴し、いつしか地位や名誉そして性別をも超越した友情や連帯感を認め合うふたりの人間味溢れる姿には心動かされました。

そして何よりもシアーシャ・ローナンの澄んだ青い瞳に毎度のことながら魅了されてしまいました。