kuu

岬の兄妹のkuuのレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
3.0
『岬の兄妹』2019年
日本映画。90分 R15+

※⚠️お食事中、若しくはお食事の少し前の方、また、気分がすぐれない方はご鑑賞をお控えになられますことをお薦めします。
食欲なくなるピークはおそらく放映時間58分付近かと存じます。⚠️※

寂しき港町。
自閉症の妹・真理子と二人暮らしとる良夫(胸糞悪いアホ!いや、糞なげキモいアホ)。
仕事を馘になり生活が困窮してもた良夫は真理子に売春をさせて生計を立てる。
良夫は銭のために、色ボケした男に妹の身体を斡旋する行為に罪の意識を感じながらも(小生は兄貴の罪の意識など無知ゆえに少ないと感じましたが)、これまで知ることがなかった妹の本当の喜びや悲しみに触れることで、複雑な心境にいたる。
そんな中、妹の心と体には少しずつ変化が起き始め。。。

今作品は、社会においてタブー視されとる問題(障害者売春)の一つやと思う。
そこを浮き彫りにすることによって、
今、福祉やら社会(人情とか)の足りないところが何かしら見えてきて、結果的に補わなきゃならんモンの裾野を広げることになればなんて崇高な理念の基に監督はこの映画を撮っとるんなら理解出来る内容かな。
この問題に限らず、必要性があるのにまだ福祉と繋がらんかったり、繋がることを避けとる大変な状況に置かれとる人がいるんは事実やろう。
現代の日本は『自己責任』ちゅう言葉に象徴されとるように、自助努力を求められとる社会になってきてる。
その対極として公助があるんやと思う。
繋がりを避ける理由のしては、煩雑な申請書類記載があったり、バッシング(人の目)があると思います。
バッシングをする人は、生産活動に従事しとらんことをどこかで軽蔑しながら『公助』ちゅう枠組みの中にその人を閉じ込めてしまっているんちゃうかと思う。
その意味では彼ら兄妹は、自由を本能的に嗅ぎ取ってるのか、いや、考え過ぎやろな。
兄貴がただの無知とボンクラ性格故に起こった出来事だと思う方が小生はしっくりくる。
綺麗事やけど、人間てのはお互い様だと思う気持ち(人情)があれば『共助』共に助け合うような発想が生まれる。
まだ、その点だけで云えばヤクザ社会のほうが拘束度はゆるやかなのかもしれへん。(最近はヤクザもんも世知辛けど)
己が自由にしたことに対して批判されへんし、ものによっては褒められるわけやし、ただし、それは決してセーフティーネットとは云えへん。
死ぬまでヤクザでいる人は健常者でもそういないかな三下なら尚更。
親分さんで才覚のある人なら別やけど。
要は留まることが出来ひん。
最後はシャブの売人にならざる得なかったり、最悪は鉄砲玉に利用されたり、そういう悲惨な末路をたどった地元の先輩は一杯みてきた。
そうなると、結局は社会にリスクを与えることになっし、刑務所に入ればコストもかかるわけやから、勝手にやってくれちゅう話じゃなくなる。
中期的に見ても、そういう人たちを
国や地域社会がちゃんと包み込んだほうがどんなけ国民全体にとってプラスになるんちゃうかなぁ。
そういう尺度で考えていけば、より生きやすい社会になると思うかな。
この映画はそのきっかけになれば幸いかなぁと。
また、今、コロナ禍などで必死に生きてても苦しい方々に、生きていれば必ず笑える日が来ることを信じて歩んで欲しいと切に願いますし、平安が訪れるよう祈念します。
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