結局カレー

岬の兄妹の結局カレーのレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
3.3
「貧困」って単純にお金がないだけじゃなくて知識や常識が足りない、手当たり次第の方法で生きてしまうことだよな。「お前は足が悪いんじゃなくて頭が悪いんだよ!」まさにその通りで。
兄がクソだと片付ければ早いけれど、身体的障害を持ち仕事も切られ金はなく自分ひとりで知的障害の妹を養わなければならない状況。貧困がこの事態を生み出し、”お仕事”をしながらみせる妹の笑顔が罪悪感をうやむやにさせていたんだろうなぁ。世のセックスワーカーたちも根底は貧困が多いだろうけど、性産業を通じて求められる喜びや人との繋がりを感じられるという意味で生命線になってるのもまた現実でしょう。妹も然り。この胸糞悪さを引き起こしたのは兄とは正直言い切れない。

美談でもなく、御涙頂戴でもなく、ただただドギツイ。溢す涙なんてなくて後退りしちゃう感じ。まだクスッと笑えるシーンがあったのが救いだったけれど、希望は見えなかった。貧困も孤独も、救えるのは社会しかないんよな。追い詰めるのも社会だけど。

みんなに観てほしいけど誰にも勧められない。