新潟の映画野郎らりほう

ダンスウィズミーの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

ダンスウィズミー(2019年製作の映画)
1.7
【顰みに倣えば】


所謂「錯誤帰属」。
ウィリアム ジェームズとカール ランゲの『人は楽しいから笑うのではなく 笑うから楽しいのだ』に倣えば、本作は『情動昂るから踊るのではなく 踊るから情動昂るのだ』ー を見せたいらしい。
果たせる哉、魂無き輪郭だけのネゲイションミュージカルが延々と…。
最後の肯定が予想出来るとはいえ、歌いたくない/踊りたくないミュージカルを工夫も無く見せてどうするのか。

中盤以降、踊らされているのではなく 自発的舞踏の歓びを漸く感じ始めるし、最終盤で 作品中最高の昂揚を獲られるものの、それがエンドロールでは あまりに遅過ぎである。



〈追記〉
高層マンション、高層オフィス、勝ち組OL、高級車で現れる皆が憧れる男性 ― 登場段階で後に否定される事明け透けなそれらの記号具合と、その対照となる筈の地方のこれまた記号具合は、世界をステロに幽閉し何も血肉化しなければ普遍化もしない。

Wジェームズ/Jランゲ/錯誤帰属等 哲学的主題系をひけらかしたものの、顰みに倣えば…。




《劇場観賞》