彦次郎

ホテル <ノーカット完全版>の彦次郎のレビュー・感想・評価

ホテル <ノーカット完全版>(1977年製作の映画)
2.5
ドイツで出張に行く夫を見送りパリに帰国しようとするも飛行機に乗り遅れたため馴染みのホテルに泊まることになったパスカルが隣室でベルリン地下組織のカールの性交を覗き見ることから官能の世界に浸るドラマ。
監督はカルロ・リッツァーニ。
カールが地下組織の裏切り者を殺害する目的を持っているということからサスペンスが発生する!…ということもなく性的欲求不満気味な美人妻が最後には隣室の男性と性交を重ねて決着という昨今のポルノグラフィでも採用されなさそうなお話です。そもそもカールが美青年でなけれな成立しない話なのでファンタジー(日本のアダルト系もそうだが)ともいえます。
強い目的があっても肉欲により焦点がぼやけたことでカールは最終的に決断したのかは不明ですが異世界での出来事のように切り上げるパスカルと対比して見えました。監督としては体は結びついても精神の相違によって砂上の楼閣のようなものになると言いたいのかもしれません。もっとも個人的にはパスカルのアバンチュールにしか見えませんけど。こう書くとパスカルを責めているようですが隙間から覗き見可能というホテルが1番の悪だと思います。
監督に高尚な考えがあるのかは分かりませんが”コリンヌ・クレリーの相手役を演じたブルース・ロビンソンは、後のインタビューで、本作について「僕は観てないよ。要は、高級なポルノグラフィさ。と述べている”(wikipediaより)というのが実情だったのかもしれません。
彦次郎

彦次郎