海

mid90s ミッドナインティーズの海のレビュー・感想・評価

4.3
たった1年2年生まれるのが早いだけで、カッコよくて大人に見える先輩たちがいた。
10年経っても20年経っても、当時の年齢をとっくに追い越しても追いつける気がしないのはなんでなんだろな。

深夜に何するでもなく駅前でたむろったり、酒を飲んで煙草を吸うことが「特別」だった頃がだいぶ恥ずかしいけどありました。

兄貴がただの嫌な奴じゃなくて、ちゃんと弟が馬鹿なことしてたら止めようとするんだけど、でも親でもないし大人でもないから上手くできずに…
兄貴は兄貴でやっぱ下にはカッコつけたい。でも所詮子供だから下手くそなんだよな。
なんかもうそういうのも泣ける。

今までホームとスクールの往復が世界の全てだったのが、ちょっと外出たらスケートボードに出会って、コミュニティがあって。
パークがあってギャングもどきもホームレスも、今まで庇護下にあって知らなかった生活を知って。
憧れる連中と一緒に過ごして、ふとしたことで認められて、一員になれた気がして、オトナになれる気がする経験って皆カタチは違っても通過儀礼ですね。

幼くて13歳には見えないw のはさておき、酒に呑まれて煙草を咥えてハッパもキメちゃって、そういうのがカッコいいって気持ちも、オトナだって認められたいって気持ちもみんなあった。
「おいおいやめとけよ…」って気持ちになっちゃうぐらいには大人になってしまった。

馬鹿なことやってるってのは他の誰でもない自分が子供ながらにわかってんのよね。
わかってるけどそれを他人から言われるのはすげー癪で、恥ずかしくて、図星の痛いトコを突かれるから、感情的になって反抗しちゃうとことか、ああもう青臭い、青臭いけどめちゃくちゃわかる。自分にもそんな時あったなって90分近くずっと頷きながら観終わったんだけど…
何?青春映画ってもっとキラキラしてるもんじゃないの?!
どうしようもない爽やかキラキラとは程遠いのに、心を抉られるような怖い作品でした。

自分が「ティーンズ」だったのってほぼ00年代だったわけで、90年代はまだ鼻水垂らしてハイパーヨーヨーとかミニ四駆とかビーダマンにデジモンだったから、90年代半ばはど真ん中でもないんな。
エヴァとオウムとノストラダムスでだいぶネガいイメージに、エアマックスにたまごっちにポケベルでG-SHOCKでSPEEDにMAX小室ビートで広末にドキドキしてた時代は、誰とでもすぐ繋がれて便利になった反面、人との時代が希薄になったと言われる現代よりももっと「未来感」にドキドキワクワクしてたっていうのを思い出すような。


もう一回観たら次は泣いてしまいそう。
海