【寄せては返す波の様に】
右へ左へと繰り返されるパニングとクラヴィングショット。水の流れの如し緩やかなキャメラアイが心地良い。
全編を覆うmonochromeと フォーカスの深度を鑑みるに、後景に映る揉事悶着や騒乱に決して“色付けせず” “焦点化しない”事の表れなのだろう - その事が本作を普遍たらしめる。
長回し主体の持続性ショットも、本作を主題/読解的諒解へと導くのではなく体感的境地へと誘ってゆく。
戯れ、乗り、流され、足掬われ、抗い、乗り越える - 時流/時代の波は 時として酷薄であり、時に安寧で、其処に臨む人の姿は神々しくさえある。
頻出する水のモチーフと、棒(陰茎)を振り回し悦に入る者達の“裸の王様”ぶりも“現代の時流”か。
《劇場観賞》