ましゅー

悪の偶像のましゅーのレビュー・感想・評価

悪の偶像(2017年製作の映画)
3.6
先のpostで触れたように、平日の都内劇場鑑賞が難しくなっている昨今ですが、私の住んでいる横浜北部は、大会社の配給作品ではない佳作を単館上映する都内あるいは横浜南部にあるような独自小劇場がない代わりに、公開が若干遅れたり公開期間が短めだったりはするものの、いくつかのシネコンではそうした小劇場でしか演ってくれない作品を上映してくれます。
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先週日曜の晩に居ても立ってもいられなくなり(またこのパターンか😅)鑑賞した本作も、そうした位置付けの作品でした。
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(以下 公式サイトより抜粋)
"加害者の父"と"被害者の父"。そして、二人の運命を握る"消えた目撃者"。
人間の業と結びつく濃密なエモーションを持ち合わせた予測不能のストーリー展開にあなたは釘付けとなる ― 。
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ひき逃げ事件をきっかけに交錯していく“加害者の父”と“被害者の父”の運命を見すえたサスペンス・ノワール。人を殺めてしまった息子のために、理不尽に命を奪われてしまった息子のために行動するふたりの父親の切なる想いが、さらなる悲劇的な事態を招き寄せていく様をスリリングに描出。観る者の予測を一切許さないストーリー展開、人間の業と結びついた濃密なエモーションを体現する二大スターの演技からひとときも目の離せない衝撃作である。
(抜粋終わり)
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ね?

こう聞くとこの二人が軸になって、例えばひき逃げの事実の隠蔽工作とか、そこから綻びが出てさらなる悲劇・転落が起こり、壮絶な騙し合い・裏の取り合いとか、威信を賭けた魂と魂のぶつかり合いとか、も少し直球の演技合戦とかが見れるんじゃないかと期待も膨らみます。
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…うん。

確かにサスペンスフルな展開や、如何にもノワールな、血にまみれたり暗闇での攻防・拉致監禁・騙し討ち的なシーン・描写はあり、一定度以上の緊迫感やモヤモヤ感・胸糞感は堪能できたんですが…。
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上記の『消えた目撃者』の存在が予想外の伏兵でした。

この人物の正体・素性が明らかになるにつれ、そして主役二人、被害者・加害者それぞれの父(一部家族)が関わりを強くするにつれ、この人物のとんでもない(それこそ衝撃の)数々の行動に、話の本筋すら持って行かれ、なんだか煙に巻かれたような着地点となってしまった故か、如何にも消化不良・結局疑問符だらけの観了感となってしまったのであります…。
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ひょっとすると昨今の人種差別的なムーブメントも忍ばせたり、予想を超える展開で観客を圧倒し、リピート必至を予め企図したつくりでもあるのかも知れませんが、それにしても日本人である私にはその辺りの『差別的要素』の空気感が今一つピンと来ず、衝撃度は大きかったのですが疑問符の方が遥かに大きい、別の意味でのモヤモヤ感ばかりが残ってしまったのも事実であります。
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韓国人あるいは長らくその地に身を置いた方にはスッと入る内容なのかも知れませんが、そこまで腹落ちするほどの理解度が得られなかったのは、まだまだ私の修行不足か、あるいはこの作品の間口の狭さなのか、もう少し色々と考えてみたいとは思います…😔
ましゅー

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