ぐりんでる

37セカンズのぐりんでるのレビュー・感想・評価

37セカンズ(2019年製作の映画)
4.5
〜〜
自由を許してくれない親。親友面して利用してくる幼馴染。求められる”性の経験”。一人の漫画家として世に羽ばたきたいユマは殻もしがらみも破って未知の世界へと踏み出していく。
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2020「物語も演技もまさに凄まじい体当たり賞」(俺の中で)を取ったことでも非常に馴染み深い今作。

主演の子は初めての演技らしい😳
初陣がこれとは凄まじすぎる。自身も車椅子である佳山明本人も映画の中のユマのような想いだったのか、なんにしてもこの人も、物語のキャラもすごい根性です

映画は障害者の性だとか、世の中の目線だとか胸の詰まるような物語で辛い

生まれた時、たった37秒息をしていなかっただけで障害を持ってしまったユマの見る世界は、過度な遠慮、不要な後ろめたさを自然と武装してしまうような世界になってしまった、、

車椅子だから?人の力を借りないと生きていけないから?
いつも人の顔を窺いながら、自然と口をついてでてしまう「すいません…」

君は何も悪くないよ、とこれを観て辛く苦しい気持ちになったけど、それは画面ってフィルターを通しているからな気がする

もし、直接対面して「障害に抵抗ありますか?」と聞かれたらおそらく俺は、あの出会い系のヘラヘラした根性無しみたいな野郎のように、「全然ないよ!」てヘラヘラして答えると思う🙄

善人ぶって勝手にこれ以上傷付けたくないって思ってしまうと思う。ガラス細工に触れる手付きを装って、腫れ物に触るような振る舞いをすると思う

その人の人生を何も知らないで勝手に辛い経験をしてきてると想像する視線が相手を縮こまらせ、
同情の押し付けをしてるのかもしれない、
それで自分はいいやつ!と空っぽの偽善に酔うんだろうな。

この映画はそういう失礼で嫌らしい自分にメスを入れてきた🔪深々と刺さりもう血まみれです。もしかしてそれ包丁ですか😵🩸

「障害を持つ人って暗いイメージかと思ってたけど、ユマちゃんて明るいよね」に対し「全然普通の人と同じですよ」と笑顔で答えていた場面があったが

勝手に不幸を連想するこの想像力の乏しさを改め、障害者と言うかマイノリティを一括りにして見ずに、それぞれがどうなのか個人として対等に礼儀をもって見る。これは簡単なことじゃないし、そんなのもう今更のことなのかもしれないけど、改めて響くものがあった。

それで言うと、ユマが漫画を持ち込む雑誌の編集長は良くも悪くも容赦無く、一人の人として接していた。一貫して一人の漫画作家として向き合ってた
映画を通してある意味自分の考え方の変化を気付かせてくれるものさしみたいな役割の人だったな。

ここで、一つある素晴らしい作品のことを思い出した

あることで世界最強レベルに強い盲目のおじさんに追われる主人公は、戦うことを決意し全力で潰しにかかるのだが、攻撃の際に必ず、「殴るぞ!」「殴って蹴る!」など宣言しながら攻撃を繰り出す👊💥

盲目のおじさんは超強いためそんな攻撃には余裕で対応するんだけど、その宣言が自身のハンディを気遣っての事だと気付き、情を掛けるな!と怒る。主人公はこう返した。

「目の見えねぇおっさんを無言でぶっ飛ばすことなんてできねェ‼︎」

あぁやっぱりこれだわ。対等に思いっきり拳を振るいながらもお節介だとしても気遣う心

どんな人にでも一人の人として区別しないようにしたいとは思ったが

街中でもし段差の前にいたら、手動のドアの前にいたら、横断歩道渡ろうとしてたら、ちょっと手を貸すお節介はやきたい。

とも改めて思った。まぁそんな事は当たり前のことかもしれないけども

しかし、まぁこんなわたくしの浸ったぼやきを他所にどんどん自ら世界を切り拓いて成長していくユマの姿を見て、屈託のない純粋な笑顔を見て、この映画から1番もらえたものはなによりも勇気だった

一人の女の子の冒険劇、その最中に出会う編集長もそうだし、ユマが外の世界で出会う人々も本当に素晴らしい。特に夜の姐さんやヘルパーの青年😭

すごくエモーショナルでした!!号泣です!

💁‍♂️💬
ちなみにその例にあげた素晴らしい作品は何だかわからないと思いますが、「ONEPIECE」です。号泣です。