ぐりんでる

劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCEのぐりんでるのレビュー・感想・評価

4.2
~~
法務省の解体が議論される中、ゲストとして招かれていた世界的権威である学者がテログループの襲撃を受ける。常守朱は事件の真相を追ううちに、再び現行のシステムでは裁けない脅威と対峙する。
~~
時系列的にはシーズン3の前日譚。3開始時点で常守朱がなぜあんなことになっていたのか。それから3の主人公たちそれぞれの親兄弟の死の真相など、お預けを喰らっていた部分が明かされる物語。

最近は国際情勢や海外のテログループが絡んできたり、それに伴って外務省との共同捜査も多かったが、その背景も判明

その上で今作はシーズン1に原点回帰したようなテーマで結構感慨深い
昔、あかねちゃんが豪語していた「法が人を守るんじゃない、人が法を守る」をついに文字通りその身をもって体現してしまうあたりの信念の強さ、貫く姿はかっこいい!

かっこいい上でシーズン1以降は可愛げがなくなってしまったというか、より良い社会のためって大義がでかすぎて人間離れしつつあったが、今作では感情的な姿も結構描かれてて良かった。
何より、あかねちゃんと狡噛の久々のバディ。色々経てのあの感じね。狡噛ぃ、本当にお前はしょうがないやつだな。とっとと謝りやがれよww

ちなみにあかねちゃんの行動はシーズン1の狡噛に完全に重ねてたのも面白かった。行動原理は対象的だが、手紙の流れからの一連はリプライズみたい。
少し気になったのはあかねちゃんの顔が膨れ気味だったこと。

そんな中あの人があんなことになったのはこの冬一番に悲しかった🥲

シリーズ全体を通してどんだけ(表面上は)便利な社会になるんであっても人の主体性、尊厳を蔑ろにしない。ってことが大きいメッセージとしてあると思うけど、それが一番色濃い作品だった

物事を二項対立でなく多面的に描き、その上で議論することの重要さを強く語る。
そろそろシビュラの盲点大喜利になってきたヴィランの設定も、今作はかなり風刺的というか皮肉めいてるように見えた

思想と責任の転嫁。宗教の洗脳もそうだし、大義やら世の中の流れ。自分で考えてるようで委ねまくることの危うさ。またここでも大事なのは自分の意志。もとい人間であること自由意志の尊重、なのかしら。

それよりアラタ、ケイ、マイコ、3の主人公たちは自分たちの親、兄弟に何があったのかまだ真相を知らないのだが、これ知ったらどうなっちゃうんだよ。結構しんどい形で絡み合う真相だった。シーズン4やってくれるんだよね…

インターネット以来の技術革新だとか、最近はChatGPTやらなんやらAIの話題に事欠かない時代になってきた。

便利になる一方で人間らしい営みは削がれて、効率を重視することで興は失われていく。
現実でもイギリスで、人間の言葉を信じず不備のあったシステムを妄信したことで起きた「最大の冤罪事件」が話題になったりしてる

技術にしても価値観にしても憂慮すべきかもしれないのにアップデートやらにこだわりまくってたりしてないかな。
近未来だと思ってたSFの絵空事な世界観につま先以上は突っ込み始めてる気がしてハラハラする😀

そんな時代に家畜に降るか、人間らしく在り続けるか。
PSYCHO-PASSシリーズ見てるか見てないかが分かれ目だと思う。本当だよ。


ナンチテーwww