ぐりんでる

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のぐりんでるのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
4.8
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政財界を牛耳る龍賀製薬の重鎮にして一族党首 時貞の死。取引担当者である水木は後継への売り込みのため哭倉村を訪れるが、一族間では遺言への不満が募りついには連続怪死事件が起こる
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水木しげる先生生誕100周年記念作品。
軽い気持ちで行ったら想像を上回る胸糞映画でびっくりw…

大富豪一族のドロドロの内情、ホラー演出等々。描写こそ抑えてはいるものの結構怖い😂おまけに発覚していく事実のえぐさたるや気分を害すレベルだった。
ボク観測の全映画歴代でもトップクラスのゲロくそゴミクズが出てきやがったのだ

娯楽作品のボスヴィランは、何かしら魅力的な要素を含んでるので厨二心くすぐられる事も多いんだけど、とくに鬼太郎作品なんて強大な妖怪だと思うじゃん。……ヴィラン好きのボクがドン引くくらい一つもいいところがないゴミだった。

今作のそれは何から何まで笑い方すらもすべてが心底気持ち悪すぎる。シュールなコラージュ形態には嫌悪感が限界突破し虫唾が全力疾走。

ただこのクソさを描くこと、それも水木先生の作品、鬼太郎で描くことで込められたメッセージの重みはより増したと思う。

現実にこの社会はこういう構図で成り立ってる、成り立たせられてるのかもしれないと思うとはらわた煮えくりかえりまくってマグマ生成しかけたし、そこに強い想いが宿ったような作品でしっかり憤怒なボクは噴火5秒前!

お国のため戦えという建前すぎる大義、戦争の勝敗なんぞ関係なく存在する格差、その上流に鎮座する者たちの驕り、底無しの強欲。それに擦り寄り、羨望の眼差しを向ける者たち。搾取されるものたち。このトリクルダウンの塔の地盤には何が埋められているの?何がこの社会の一部を潤してきたの?今作は戦争から地続きの腐った社会の図式をしっかり醜く描く。

そんな資本主義の世界で強者になりたかった水木。
「半分見えてないくらいがちょうどいい」とそんな現世に一線を引いてきたゲゲ郎(目玉の親父)。
そのどちらでもなく、生きるため人の営みを尊重し人を愛していたゲゲ郎の奥さん。

それぞれの想いの変化。このクソみたいな世界の未来のために戦う理由には胸が熱くなったし、トドメのセリフはあまりにも気持ちよく、スカッとした!!
結構王道と言えば王道だけど、劇中の酷い出来事の数々に重ね、現実の世の浅ましさにも怒りをぶっ叩きつけるようででかいカタルシスを感じる一言だった。

タイトルの通り鬼太郎の誕生譚であり鬼太郎の存在が重要ではあるけど、基本的にはちょっとかっこよすぎる現役時代の目玉の親父と水木のバディもの。
深刻な展開の中、束の間の二人の一服の空気感や、ねずみ男が清涼剤ポイント高かくてよかった

ただ全体的に少し急足に感じたのが個人的には惜しかった。重要な人物たちとの人間関係はもう少しじっくり描いてくれたら、もっと気持ちが乗っかたかも

まぁそこは涙を煽る展開よりも、受け止めてほしい怒りにも近いメッセージが大事だったんだと振り返ってみて今は腑に落ちてる。

恨みすらも利用する腐りきった権力への批判だけじゃなく夥しい犠牲の上に、語られもしない犠牲の上にわいらは生きているということを忘れてはいけないよね。”最後の一体”との再会まで含めて抜かりなかった。

鬼太郎というキャラ、作品により深みを与える素晴らしい前日譚だしエンドロールから堂々たるタイトルコールまで含めて最高だった。

これもまた君たちはどう生きるか。問いかけてくるかのようなこの春一番のゲゲゲ作品。

📍ぐりんで観光案内🤖
今月末からAmazonプライムに見放題配信くるらしいので、是非ともこの忌まわしき哭倉村をお訪ねくださいまし。

さぁみんなで歌おうゲゲゲのゲーーっ👻🎵