ぐりんでる

名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)のぐりんでるのレビュー・感想・評価

4.8
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新たな防犯技術として試験運用される「老若認証」。あらゆる事件解決の可能性を秘めた一方、犯罪利用を目論む黒づくめの組織は開発者を拉致し、薬で幼児化したある人物の素性にたどり着いてしまう
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最終章なんじゃないかってレベルの展開で映画としてはかなり踏み込んだ内容で緊張感のある今作。
去年に続きまた最高傑作なのかよ!

灰原さんの正体がバレるなんてビッグイベントを映画でやっちゃって、どう収拾つけるのかと思いながら見てたが解決策が見事で感心した。
なぜバレたのか。その辺も想像してたものとは全く違う角度にきっかけがあり、これまた感心が止まらない

今作でも映画オリジナルキャラの感情表現にも力を入れてる上に、他の人物とも心情を連動させるもんだから余計胸を締め付ける流れが見事だった。
キャラ捌きも鮮やかで僅かな登場時間しかないお馴染みのキャラの魅力を描き切る。
とくにカッコ良すぎる蘭ねーちゃん、よくよくいい女すぎる園子、いつになく真剣な阿笠博士には目頭が熱くなったわ

そんな博士と園子は別々の場面で、意識してないとスルーするような描写で同じホエールギャグを言ってた。
キャラの位置付けが似てる部分があるこの二人。親しみやすいのと、博士は科学力、園子は財力・権力で物語を展開させる推進力だったりする

まぁこの二人は重要じゃないが、今作は灰原さんを軸に同じような境遇、背負ってるモノなど共通項がある人物をリンクさせる演出が多く物語や感情をいい感じに煽り沸かせてきた。とくに直美とキール。
人物配置、相関関係の活かし方がいいね。

灰原さんは目の前で困った人、打ちのめされた人に手を差し伸べる。
みんなもまた灰原さんのために力の限りを尽くす。

後ろめたい過去から孤独で生への執着心も薄かった灰原さんがどれだけ人に優しく、みんなにも愛されてるか。何が灰原さんを変えたのか、
友達の布団掛け直してあげる些細な描写も抜かりなく、冒頭から温かい人柄エピソードをどんどん積み上げて足していく。だから随所で胸が熱くなる。灰原さんの魅力が右肩上がりどころか天を穿った

終盤にはめいいっぱいの銃火器を用いてなりふり構わなくなる黒ずくめ。毎度お馴染みの消化試合か。と盛り下がっていると、
とんでもない見せ場、真のクライマックスが用意されていた!!

ここまで足し算、掛け算的に灰原さんの人間関係が描かれてきたが、一気にある二人だけの空間・関係へと収縮していく。そして……

ヒェッ!?😳😳😳🥹🥹🥹
「あっぶねぇ~助かったぜ~」ちゃうでほんま…

例のテーマの挿入タイミングも最強すぎるだろ…
しかもこれ2番の歌詞なのは、そういうことか…芸が細かすぎるだろ🥲

ちなみに論理で事件や犯罪心理を暴く一方、「人の善意に論理的な思考はない」と説き道徳的な行いがかなり大事な要素になったりするのもシリーズの魅力の一つだと思ってるが、それが今回冴え渡ってた

さらにちなみに江戸川もいつになく純粋にかっこよかった。浮上する時の穏やかな口調なんなんだよ…どうしたんだよ江戸川。

さらにさらに映画のオチ。この冬一番にラブコメとしても斜め上すぎて変な驚き笑いが漏れた

さらにさらにさらにエンドロール後のおまけ。本人たちは知る由もない二つの真相。ちょっとカッコ良すぎるわい

いやいやコナン映画脂乗りまくってるね
めちゃくちゃ面白かったし、灰原さんの幸せを願わずにはいられなくなる。

灰原さん、生きろ。そなたは美しいんじゃもん!!