鍋レモン

グリーンブックの鍋レモンのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.9
⚪概要とあらすじ
人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、黒人ジャズピアニストとイタリア系白人運転手の2人が旅を続けるなかで友情を深めていく姿を、実話をもとに描き、第91回アカデミー作品賞を受賞したドラマ。

1962年、ニューヨークの高級クラブで用心棒として働くトニー・リップは、粗野で無教養だが口が達者で、何かと周囲から頼りにされていた。クラブが改装のため閉鎖になり、しばらくの間、無職になってしまったトニーは、南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニストのドクター・シャーリーに運転手として雇われる。黒人差別が色濃い南部へ、あえてツアーにでかけようとするドクター・シャーリーと、黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を頼りに、その旅に同行することになったトニー。出自も性格も全く異なる2人は、当初は衝突を繰り返すものの、次第に友情を築いていく。

⚪キャッチコピーとセリフ
“行こうぜ、相棒。あんたにしかできないことがある。”

「品位こそが全てに勝るんだ。」

⚪感想
実話を元にした作品。

段々と深まる2人の絆が良き。
素敵なロードムービー。

どのくらい忠実に物語を作り上げているのかということは置いておいて、ユーモアと人間ドラマと人種差別・偏見についてが上手く盛り込まれていて面白い。

みどりの日にちなんで『グリーンブック』をとの事だったけど放送してくれた午後のロードショーさん有難い。

“主人公であるトニー・リップの役柄が「黒人を差別から救う救済者」”とのことで批判を浴びたようだが、主人公のトニーが黒人、ドクに対して偏見が徐々に変わっていく段階がありありと感じ取られてとても良かった。

似た雰囲気の作品で言えば『最強のふたり』。偏見や差別的意識を持ちながらも関わっていくことで変わっていき、強い絆が生まれる。
やっぱり偏見や差別的意識はそういった人たちと関わってみることで変わってくるのだろうと思う。
ちょっとした「〜人は〜が好き」「〜人は〜が嫌い」というのも全ての人に当てはまることでは無いのは理解しつつでも当て嵌めちゃうよなと。

トニーとその周りの黒人に対する偏見としては、トニーの奥さんが1番偏見がなく、その次がトニーその後があとの家族かなと。
冒頭では「石炭」とか後半では「黒」と呼んでいたし。

キャラクターとしてトニーは良い役だなと。
こうカッとなりやすく手が出る性格ではあるけど他の作品に出てくる役柄とは何かが違っていて、親しみやすく好きになる。チンピラかと思いきやそうではなくて家族思いで奥さん大好きなところもまた良い。こういう役柄だと独身でってことも多いよね。職もあるし、ちょっと悪いこともしているけど(冒頭の帽子の件)犯罪までいく様なレベルではないし。
いい意味でも悪い意味でもガサツ、話が上手い(でたらめも)、彼の周りには人が不思議と集まるようなそんな魅力。愛情深く、人柄も良い。

ヴィゴ・モーテンセンめちゃくちゃかっこいい。恰幅が良くお腹ぽっこりなのになぜあんなにかっこいいのか。
髪型といいスーツが似合いすぎて異次元。
吹き替えもピッタリ。

差別に対して暴力で返すことには意味がなく、そうなるならば威厳と品位を持って生きねばというドクの強い意志を感じる。

ドクは威厳があり品位もある。少し世間知らずなところが隙があっていいなと思った。

最初のうちは噛み合わなかった2人がお互いに触れ合うことでその良さを知り絆を深めていくのが良い。

人種差別について分かりやすく気軽に理解できる映画。

ヒスイのお守り石買いたいな。
ケンタッキーも食べたい。



⚪以下ネタバレ



ゲストとして招待したにも関わらず、楽屋は物置で、食事はその音楽を聴きに来た人間と一緒には食べられない。あまりにも理不尽なルール。でもそれが長年しきたりに。

こういう作品だと「もう辞めてやる!!」って言って仕事を放り出して家族や友人が説得、戻るっていう流れが多いけど、トニーはこの仕事を放り出すことは無かったし、知人からの誘いも戸惑うことなく断るのが良い。
もしかしたらと心配になって給料をあげてあげようとするドクの行動と「俺は元の給料で契約したんだ、そんな事しなくても断るよ」という姿勢を見せたトニーの関係性。

個人的に好きなシーン。

トニーが落ちていたお守りの石をこっそり拾って盗むもバレていてドクに返しにいけと怒られるとこ。そして実は返していなくて奥さんの写真の前に置いていて、後日雪の運転のシーンでドクにそれがバレていたことが分かり素直に車のフロントにお守りとして置くシーン。
結果的に再び警察に呼び止められるもただタイヤのパンクを教えられただけだった。翡翠のお守り効果?
実は返す振りをしてお金を置いてきた説推してます。

日記みたいな下手くそな手紙を書くトニーをちらっと見るドク。そこからドクがトニーに手紙の書き方をアドバイスしロマンチックな手紙を書き、トニーの奥さんが嬉しそうに呼んだり、読み聞かせをするシーン。トニーがドクに教えてもらわずともロマンチックな言葉を紡げていてドクに褒められるところも好き。ラストで奥さんがドクがアドバイスをしていたことを見抜いていてコソコソっと感謝を伝えるのも良き。

ケンタッキーを食べるシーン。黒人=チキンが好きみたいな偏見からだったがトニーがゴリ押しでドクにケンタッキーを渡すシーン。食べてみたらめちゃくちゃ美味しいじゃんみたいなドクの反応が好き。2人して窓から食べ終わった骨を捨てるシーンは笑っちゃう。調子に乗ったトニーが飲み物も捨てたら取りに戻らされるのもまたユーモアが効いている。

怪訝な顔をして車の中を見た若者に対してトニーが中指を立てるシーン。

トニーがしれっとトリオメンバーのことバンドのマヌケメンバーと読んでいるシーン。

最後の舞台を蹴って、バーでピアノを引いたシーン。どのシーンよりも1番幸せそうにピアノを弾いていたドクに救われた。
実は拳銃を持っていたトニーのおまけ付き。

トニーの偏見が見られる印象的なシーン。

トニーが黒人2人の使ったコップを洗わず捨ててしまったシーン。
ドクの荷物をトニーは車に積まなかったシーン。
奥さんがトニーとドクの分として渡したサンドウィッチをトニーが全て食べてしまったシーン。
道端でトイレに行く際に車の中の財布を取りに戻ったシーン。

ヒヤヒヤしたシーン。

オレンジバードで札束を見ていたチンピラ。ドクが襲われると思ってら拳銃の伏線がいかされただけで良かった。
帰り道トニーの眠気。居眠りでやばい事故と思いきやドクが運転を代わってくれるほっこりさ。

⚪以下ストーリー(Wikipediaから引用)
舞台は1962年のアメリカ。ジム・クロウ法の真っただ中、トニー・“リップ”・ヴァレロンガはニューヨーク市のナイトクラブで用心棒[7]をしていた。ある日、彼が働いているナイトクラブ「コパカバーナ」が改装工事のため閉鎖されてしまう。新しい仕事を探している矢先に、アメリカ中西部、ディープサウスを回る8週間のコンサートツアーの運転手を探しているアフリカ系アメリカ人のクラシック系ピアニスト、ドン・シャーリーとの面接を紹介される。ドンは、トニーの肉体的な強さや、物怖じしない性格を見込んで彼を雇うことにした。トニーは妻と子供2人の家庭を持っており、親戚も多いため、クリスマス・イブまでに自宅に帰るという約束のもと、ツアーに出発する。ドンのレコードレーベルの担当者は、アフリカ系アメリカ人の旅行者がモーテル、レストラン、給油所を見つけるためのガイドである「グリーンブック」1冊をトニーに提供する。

旅の始まりに早速ドンとトニーは衝突してしまう。ドンはトニーの粗野な性格や行動にうんざりし、彼の行動や言動を直すよう口を酸っぱくして注意するが、トニーはドンの言う「洗練された行動」をとるよう求められることに不快感を覚えていた。しかしツアーが進むにつれて、トニーはドンの類稀なるピアノ演奏の才能に感銘を受ける。ところが、ステージから下りたドンに対する彼の招待主と一般の人々から受ける差別的な扱いに、彼は改めて動揺してしまう。ツアー中にドンが入店したバーで彼が白人男性のグループにリンチされた時には、トニーが彼を救い、ツアーの残りの間、トニーはドンに1人で外出しないように叱責する。

旅の間中、ドンはトニーが妻に手紙を書くのを助けていた。トニーはドンに、離別した兄弟と連絡を取るように促すが、ドンは自分の職業柄と名声によって兄弟と離別し、妻とも別れたことを話す。南部ではドンがYMCAプールで同性愛者の白人男性と出会ったところを警官に咎められたが、トニーはドンの逮捕を防ぐために警官に賄賂を贈り事なきを得る。ドンはトニーが彼らの逮捕を無かったことにするために警官に「報いた」ことに憤慨した。その後、2人は日没後に黒人が外出していることを違法とされ警官に取り押さえられてしまう。車から引きずり出されたトニーは、ドンを侮辱した警官を殴打してしまい、2人は逮捕される。収監されている間に、ドンは彼の弁護士に電話したい旨を警官に伝え、外と連絡を取ることに成功する。だがドンが本当に電話したのは当時の司法長官ロバート・ケネディで、自分たち2人を解放するよう警官に圧力をかけて貰うことに成功する。

アラバマ州バーミンガムでのツアーの最終公演の夜、ドンは演奏するために招待されたカントリークラブの、白人専用レストランへの入場を拒否されてしまう。ドンは「このレストランで食事を取る。それが出来ないのなら今夜、演奏はしない。」とオーナーに言い放つ。オーナーはトニーに100ドルを提示し「ドンを説得してくれ」と頼むが更に侮辱的な発言をしたためトニーは殴りそうになるも、ドンの言葉で思いとどまる。ドンはトニーに「君が演奏しろというのなら今夜演奏する」というがそれに対してトニーは「こんなクソなところはやめよう」とクラブを後にする。トニーはドンを黒人のためのブラックブルースクラブ「オレンジバード」で夕食をとらせるために連れて行く。ドンの高級な服装は他の客の疑惑と好奇の視線を集めた。2人はそれを無視しカティサークと「今日のスペシャル」を頼むとウエイトレスは白人と黒人のコンビから「あなた、警官?」と訊くが、トニーは「そんなことあるかい」と答えドンが世界一のピアニストであると伝える。すると、ウエイトレスは「言葉より聴かせて」とステージのアップライトピアノを指す。ドンはショパンの練習曲作品25-11を弾き、演奏が終わると客は拍手をもって絶賛し、お店の箱バンドがステージに上がりブルースを奏で始めるとドンも合わせてアドリブを披露する。

トニーとドンはクリスマスイブまでに家に帰ろうと家路を北に急ぐ。途中で彼らは警察官に止められるが、警官は彼らのタイヤのパンクを指摘し助けようとしたのであり、彼らに対して嫌がらせはしなかった。その後、トニーは眠気と戦いながら「モーテルで休ませてくれ」というもドンは「あと少しだ」と励ます。そしてNYに帰って来た車を運転していたのはドンであった。ドンはトニーを自宅前で降ろし帰宅する。執事が「荷物をほどきましょうか?」と訊くと「いや今夜は家に帰れ」と促し、執事は微笑んで「メリークリスマス」と挨拶する。

トニー家では帰宅したトニーに「どんなことがあったか」を皆が訊く。1人が「あのニガーはどうだった?」と言うとトニーは「その言い方はやめろ」と諭し、その姿を見てトニーの妻ドロレスは微笑む[注 1]。8週間の旅で夫の黒人に対する偏見は減ったのだ。旅立つ前に時計を預けた質屋の夫婦が「トニーの親戚に御呼ばれした」とパーティーを訪ね、一同は歓迎して迎える。そしてドアを閉めようとしたトニーがふと気付きドアを開けるとそこにはシャンパンボトルを持ったドンがいた。トニーは「ようこそ!」と喜んで2人は抱きあう。トニーはダイニングにいる親戚一同に「紹介する、ドクター・ドン・シャーリーだ」と紹介すると親戚一同は一瞬固まるも「彼の席を作れ!」と歓迎の意を表す。そしてドンとドロレスは紹介し挨拶の抱擁をする。そしてドロレスはドンの耳元で「手紙をありがとう」とお礼を言い、ドンは少し驚き、お互いに見つめあいながら微笑んで、もう一度挨拶の抱擁をする。

⚪鑑賞
午後のロードショーで鑑賞。
鍋レモン

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