GodSpeed楓

海底47m 古代マヤの死の迷宮のGodSpeed楓のレビュー・感想・評価

4.0
2020年になっても勢いが衰えることの無い、一大勢力を誇るジャンルである"サメ映画"。2017年に公開された「海底47m」の、シリーズ化のお披露目となる2作目である。尚、ちなみに前作との話の繋がりは全く無いので、本作だけを鑑賞しても全く問題ない。

本シリーズの特徴として挙げられるのは"クローズド・サークル"でサメとの闘いを描いている事だ。近年ヒットした(と思う)、「ロスト・バケーション」という映画も本シリーズと同様(本シリーズより先の作品だが)に"閉鎖された空間"でサメとの奮闘を描いている。人を車のボンネットの上に拘束して運転すると、外にも関わらず"監禁罪"が適用される事を鑑みると、本作は"密室モノ"と言っても過言ではないだろう。※イメージがしづらい方は「デス・プルーフ」という映画をご覧になる事をオススメする。監禁の定義を勉強できる良い教材になるだろう。(ならない)

シリーズものなので当然だが、前作同様に本編の殆どを水中のシーンが占めている。前作は「行って戻って、もう1回遊べるドン!」という非常に狭い、限定的な空間で作られていたのだが、本作はズンズン移動を繰り返すので風景も変わるし、移動するたびに新たな障害が発生するので、ただサメ相手に襲われるだけの映画ではない。1つ1つが長すぎず、そして次々と迫りくるイベントには全く飽きることが無い。

演出の都合上だが、前作を観ていないほうが楽しめると思われる。というより、サメ映画通は「これは死にますなぁ」「映ってないけど後ろ後ろ!」のように予知能力を発揮するフシがあるので、もはやサメ映画は初心者ほど楽しめるジャンルになってしまったのかもしれない。珍しいことに1作目より面白い2作目なので、サメ映画初心者の方々は本作を入門編として面白さを理解していただき、次は「ロスト・バケーション」をご覧になれば「2作続けて面白いという事は、サメ映画は面白いんだ!」という錯覚に捉われてほしい。そうして次に「メガ・シャークVSメカ・シャーク」あたりを観れば、正常な判断をできなくなっているアナタも、きっと我々の同志になれるだろう。

余談だが、僕が事前に本作を知ったのは映画館での予告編。ポップコーン食べたりして真面目に観ておらず見逃していたのが全面的に悪いのだが、驚くべき事に一切「サメ」という存在を全く認識していなかった。そのため「どういうモンスターが海底で襲ってくるんだろうか…」という感じに、めちゃくちゃハードルが激上がりしていた。そこで前作を観て、また各メディアでも(なんなら公式も)当然のように「サメ映画です(ニッコリ」と全力主張していた事で、「サメかよ…」と勝手にガッカリしてしまった。それでも結局「まぁサメ映画なら観に行くか」という判断に至ったので、この話は全てどうでも良い事でした。忘れて下さい。

ちなみに、生意気にも伏線回収をかましてくるので、悔しい事に少し感動できる。「こんなシーンあったなぁ…」程度でよいので、それを覚えていられる程度に、まぁまぁ集中してご覧になった方が良い。"ちょっとしたルールを守れないようなマヌケは悲惨な目に遭って死ぬ"という、全世界の映画テンプレートにきっちり則った、みんなが大好きな映画である。
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