つっつー

ジョーカーのつっつーのネタバレレビュー・内容・結末

ジョーカー(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

今までギャグみたいに思ってた『治安の悪すぎるゴッサムシティ』の誕生秘話だった。悪ふざけで看板泥棒する人とか電車内でダルい絡み方する人がいる程度には元々治安悪かったけど、ジョーカーがパトカーの中から見た街の様子を観たときに「ゴッサムシティだなぁ」ってなった。

冒頭の口の端を吊り上げて笑みを作って泣いてるシーンでもう掴まれた。
ジョーカーを鑑賞する前にこの監督のハングオーバーシリーズを観たけど、トッド・フィリップス監督は人が嫌な空気描くのすごいね。3で描かれてたアランとチャウに向けられてたあの空気とか。あの嫌な感じが濃厚で、最悪で最高だった。

シナリオは大まかに言うと夢を踏みつけて小躍りする奴らを踏み潰し返す話で、ラストに喝采を浴びてる中、自分の血でスマイルを完成させた時は何とも言えないカタルシスがあった。
警察をボコボコにさせたりマレーを射殺したりするのはどうかと思うけど、弱者からすると「いじめを黙って見てる人も加害者」の理屈で、看板泥棒に襲われたときに全く動いてくれなかった警察も、弱者に無関心な強者も、加害者であり報いを受ける対象なんだね…。
「僕にはもう失うものはない」っていうのが良い方に作用することもあって、そっちに吹っ切れば良かったのに。思いっきり性暴力だけど、登壇していきなり博士の口にキスしたのは滅茶苦茶笑ってしまった。気負ってないから堂々とネタ帳を広げるし、カミングアウトするまでは普通に面白い番組になってたから、色物コメディアンとして売れる未来もあったのかな。リアルのジョーカー模倣犯もそうだけど、自尊心って厄介。

ところどころに都合のいい箇所があるけど、現実かどうか曖昧な描写にしてるの上手くてすごい。でも個人的には舞台がゴッサムシティだから全部現実だと思う。バットマン時代のゴッサムシティになるにはこれくらいのことないとね。

ラストで血の足跡残して歩いてたら見つかって「いっけね。逃っげろー」的な追いかけっこでthe endの表記が出てくる終わり方すごく好き。
「僕の人生はまさに喜劇だ」の通り。めっちゃジョーカーだった。