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ジョーカーのDTAKのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.0
【渋いのにめちゃくちゃ爽快感ある】

これは傑作でしょう。
最早アート映画を見ている感も出てくる。

前評判が良かったので、
ほぼノーマークで情報も最小限に留めたまま鑑賞。

もうね、胸がすく思いなの。
観てるそばから溜飲が下がる下がる!

①『ジョーカー』の持つハリウッドにおける立ち位置

ジョーカーがこの映画でやったことは革命的で、
そのまま昨今のハリウッドに見立てることができる。

『ジョーカー』ってフィルムはディズニー&MCUでは決して作れない、という点だ。

ここ10数年、ディズニー&MCUは
マーケティングを徹底的に優先する<ブロックバスター戦略>の一辺倒で
金を荒稼ぎしてきた。

資本と物量に任せて長尺化&粗製乱造されるMCU映画群。
2019年の『エンドゲーム』がその極点。
それに対し、
真逆の性質を持つこの『ジョーカー』が持つ渋さ&タイトさたるや、どうよ?

まるで「ディズニー&MCU=富裕層」VS「ワーナー&DC=ジョーカー側」という見立てができちゃうくらい。

②俳優の力
ロバート・デ・ニーロ扮するTV司会者や、ウェイン富豪、証券マンといった「向こう側」の富裕層はある種デフォルメされすぎなくらいはあるがw

でも『タクシードライバー』のトラヴィスを演じてたデ・ニーロが富裕層をやるんだーという
皮肉もピリッと効いてる。

そしてホアキン・フェニックスの力よ!
『グラディエーター』の皇帝や『ウォークザライン』のジョニーキャシュの印象も強いけど、
今回は凄い。上半身裸になった時のあの背中とか。
笑ってる時に思わず出てくる鼻水とか。
伝説となったヒース・レジャーとは違う、物凄いものを見た。


「世間に認知されない=存在してない」と思ってきたジョーカー。
コメディアンなのに、「病気が発症している」映像でいじられるという、スタンドアップの内容ではない認知のされ方。

それに対し、「何が面白いか、笑えるかは自分で決めるもんだ」と怒涛のようにまくし立てる終盤の展開。

とても、かっこいいじゃないか。

(富裕層が見て笑っている映画というのが、チャップリンってのがまたね~)

終盤、暴動の群衆から喝采を浴びながら、あの車の上で踊り舞うシーン。非常に美しい。感動すら覚える。

作品ポスターにも出てくる例の階段は3度、作品内で出てくる。
だが、3度目はこれまでと違って「下りてくる」んだよね。しかも踊りながら。

あのメイクアップと恰好で、
暴動と化した地下鉄からジョーカーが得意げに歩いて出てくるシーン。
めちゃくちゃカッコイイショットなんだよねぇ。。。。。。
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