馮美梅

長いお別れの馮美梅のレビュー・感想・評価

長いお別れ(2019年製作の映画)
3.8
教師だった父が70歳にして認知症に。
長女は夫の仕事でアメリカ、次女は夢をかなえようと奮闘するけれどなかなか思うようにいかない。

2007年から2013年の7年間の物語。
5人家族の物語。確かに介護は大変だけど、それだけではない、夫婦、そして親子、姉妹それぞれが父を夫を尊敬し大好きだということが映像を通して感じられる。悲しくもあり、でもそこにおかしさもあり。

帰る、帰るという父に戸惑う家族だけど、それがどういう意味ということがわかるシーンは心温まる、そして父を見つけた家族が「お父さん!」と笑顔で手を振ると認知症になってからと言っていいほど素敵な笑顔を見せてくれる。

山崎努さんの演技が素晴らしい、妻の松原智恵子さんがキュートで、でも夫を本当に愛しているのを常に感じさせてくれる演技も素敵でした。若き頃に聞いた夫の言葉を再び気化されるシーンは胸に来ました。

スーパーで万引きを疑われるシーン。認知症の人がこういうことをするのを周囲の人にも認知してもらうことも必要なのかもしれません。家族だけではどうしても補いきれないものがあるから、お店など、周囲の人たちの見守りも大事になってくるんじゃないかなと考えさせられました。

別れは寂しいけれど、いつかは訪れるもの。でも違う出会いもまたある。
家族がいつも本のしおりにつかっている銀杏や紅葉などの葉っぱが家族のつながりにように感じられるし、アメリカに住む孫が拾った青々とした落ち葉、これからの彼の人生の歴史が始まるような気がしました。
馮美梅

馮美梅